県民の「健康寿命」を延ばそうと、県栄養士会(下地洋子会長)が多職種連携による在宅医療に加わる準備を進めている。昨年12月以降、会員の管理栄養士25人が内科医や歯科医、看護師らによる訪問診療に計16回同行するなど研修を重ねている。医師からも「胃ろうをやめて口からの食事に戻せた患者がいる」と細やかな栄養指導を期待する声が上がっている。(新里健)

在宅診療研修先の有料老人ホームで、入居するお年寄りに食欲などを尋ねる管理栄養士(左)=那覇市宇栄原

 県栄養士会は2013年度、厚生労働省からの補助金を財源に、在宅医療を食の側面から支える「ちゃーがんじゅうプロジェクト」を始めた。

 12月末の研修では管理栄養士2人が「協同にじクリニック」(那覇市古波蔵)の診療に同行し、市宇栄原の有料老人ホームを訪れた。

 93歳の女性入居者の血圧や脈拍を看護師が測り、内科医が診察する。その間2人は熱心にメモを取り、女性の顔色を見ながら「お口から食べてますか」などと尋ね、施設の職員に食事の量や飲み込む力の程度を確認した。

 研修を終えた25人は「糖尿病患者に菓子の選び方を指導できた」「患者と打ち解けるまでに時間がかかった」「80代の父親が、乳がんを患う娘を介護し、食事は毎日弁当だった。管理栄養士が支援する必要がある」「宅老所の調理員は、自分の栄養知識が確かか不安を抱えていた」などの感想を寄せた。

 県栄養士会の吉田陽子理事(46)は「口から食べることは人間の生きがいで、介護予防にもつながる」と在宅医療で栄養指導をする意義を語る一方、「医師から声を掛けてもらわないと、管理栄養士だけでは動けない」ともどかしさも感じる。

 県内で長年、管理栄養士と連携して訪問診療を続ける「かじまやークリニック」(浦添市前田)の山里将進理事長(70)は「医師の指導を具体化して、患者や家族を助ける役割を期待したい」と栄養士会の動きを歓迎する。

 一方「医師側には管理栄養士を在宅医療に巻き込もうという意識がまだ弱い。医師向けの研修を多く開き、多職種連携の大切さをもっと伝える必要がある」と話す。