独自の文化が受け継がれる宮古島で、伝統工芸品として高い評価を得る「宮古上布」。繊細で美しい織りで人気があるが、手間の掛かる上、技術継承の困難さなど課題も多い。関係者は後継者の育成と今後の生産向上、販路拡大を模索している。

宮古上布を織る織り手=宮古島市平良・宮古織物事業協同組合

 原料は苧(カラムシ)の繊維で作った苧麻(ちょま)で、約500年前に宮古上布の創始者といわれる織女・稲石(いないし)(生没年未詳)が琉球国王に献上した布が始まりとされる。

 苧麻の繊維を糸にする苧績み(ぶーんみ)や、図柄を手括(くく)りや締機(しめばた)で織り締める絣(かすり)括りなど20~25の精緻な工程を経て完成する。

 極細の糸を用いた、肌にまとわりつかないさらりとした風合いが特徴で、琉球王朝時代は貢納布として生産された。熟練した作り手が織り上げる精巧さは、国内の麻織物の中でも最高級と評され、国の重要無形文化財にも指定されている。

 最盛期の大正から昭和初期は、年間生産量が1万反を超えたが、戦後は1952年の2064反をピークに織り手の高齢化や原料糸の不足で生産量が減少。2000年初めには約10反に落ち込んだ。

 現在は、苧麻生産や上布の製作・販売、広報活動などを担う宮古織物事業協同組合(会員数75人)を中心に保存継承に取り組み、約50反前後の生産量で推移している。

 同組合の上原則子専務理事は「風が通り抜けるほど薄く、夏でも涼しいのが宮古上布ならではの魅力。定期的に県外での展示即売も実施している。最近は本土の問屋からの引き取りも多く需要は増加傾向にある」という。しかし認知度の拡大で新たな懸念も生まれた。

 「需要に応じて生産反数を上げるには織り手が約15人と限られている」。特に高度な技量が必要な極細糸を使った十字絣には熟練した織り手が必要。加えて十字絣用の細い糸は、不足気味の状態が続いていると課題は多い。

 「宮古上布は分業で手間のかかるひとつひとつの各工程に職人がいる。経験が浅いと作業に時間がかかることもあり、後継者育成にさらに力を入れる必要がある」と強調している。(宮古支局・与儀武秀)

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