1947年に中華民国統治下の台湾で起きた「2・28事件」に巻き込まれた県出身者の遺族らが27日、台湾を訪れる。3月2日まで滞在し、政府などが主催する記念式典に出席するほか、県出身者が事件に遭遇した基隆などを訪問。遺族は「故人を弔いたい。どんなふうに亡くなったのか、真相を知りたい」と話している。(嘉数よしの)

「父がどのような状況で亡くなったか知りたい」と話す徳田ハツ子さん=18日、那覇市内の自宅

 同事件は、国民党の専制支配や台湾人差別が原因で起こった住民と政府の衝突で、軍が2万人余を虐殺したとされている。県関係者の被害を調査する「台湾228事件沖縄調査委員会」(代表・又吉盛清沖縄大学客員教授)によると、判明している県出身犠牲者は4人。遺族らは1月に「台湾228事件、真実を求める沖縄の会」を結成し、事件の真相究明や、被害者認定を求める作業を進める方針を打ち出していた。

 今回は、犠牲者4人のうち3人の関係者17人が訪台する。同事件の調査などを担う「228事件記念基金会」や、遺族会と面談する予定。沖縄人集落のあった基隆の和平島も訪れ、犠牲者の冥福を祈る。

 与那国島出身で、基隆で事件に巻き込まれたとみられる仲嵩実さん=当時(29)=の長女、徳田ハツ子さん(77)は、初めて台湾へ向かう。父と死別したのは、小学3年のころ。仲嵩さんは、船のエンジンを動かす部品を取りに台湾へ行き、事件に遭遇したとみられるが、詳細は分かっていない。

 徳田さんは「どんな状況で亡くなったのか知りたい。台湾で何か情報を得られれば」と願っている。これまで那覇市内の自宅で台湾の方角へ向かい、手を合わせていたが、「ようやく現地で線香を上げることができる。大好きだったお酒を持っていきたい」と話す。

 父・青山惠先さん=当時(38)=を亡くし、「真実を求める沖縄の会」代表世話人に就いた青山惠昭さん(70)は「関係者は高齢化しているため、早めに(被害認定などの)作業を進める必要がある。台湾側と関係を築き、進展させていきたい」と決意を語った。

 [ことば]2・28事件 日本の敗戦後の1947年2月28日に、台湾を接収した国民党政権が民衆を弾圧した事件。死者は約2万人とされるが、国民党独裁時代は事件はタブーとされたため、今も謎が残る。同党の馬英九総統は当時の政府の過ちを認めており、台湾では遺族への補償などが進んでいる。