沖縄科学技術大学院大学(OIST)や九州沖縄農業研究センター(熊本県)などの共同研究グループが糖や脂肪の吸収を遅らせ、生活習慣病の予防につながる「難消化米」の県産品種の開発に取り組んでいる。県内は肥満率が全国1位と高く食習慣の改善が課題の一つとなっているため沖縄の気候にあった品種に改良して農家に普及、生活習慣病の予防につなげる。2016年度中に品種登録を申請する予定で、科学的データで効果・効能を立証して特定保健用食品(特保)としての許可も目指す。(仲田佳史)

沖縄科学技術大学院大学が名護市のほ場で研究している難消化米

難消化米の開発事業の概要

沖縄科学技術大学院大学が名護市のほ場で研究している難消化米 難消化米の開発事業の概要

 難消化米は、約30年前に九州大学の佐藤光特命教授が開発。交配を繰り返して改良を進め、通常のコメにはない、ブドウ糖に分解されにくい「難消化性でんぷん」のみを持つ品種をつくりだした。大阪府立大学の研究によると、通常のコメと難消化米を男女14人に食べさせて比べたところ、難消化米は血糖値が4割低かったほか、肝臓の中性脂肪も3割抑えられたという。

 県内でも栽培できるが、本州と比べて気温が高いため、生育途中の段階でイネが開花してしまい、収量が半分に落ち込むという。そのため研究では、OISTの佐瀬英俊准教授らが県内で栽培されているコメの品種と交雑を繰り返し、適切な時期に開花するよう改良する。

 また、難消化米が糖尿病の患者にどの程度の効果があるかも確認する。琉球大学医学部は生活習慣の乱れで糖尿病になった患者を対象に、難消化米を食べてもらい、血中の中性脂肪の低下や肝臓への脂質蓄積の抑制効果、動脈硬化の改善にどの程度つながっているかを調べる。特保の取得にはどの物質がどう作用しているのかを科学的に裏付ける必要があり、具体的なデータを収集する。

 県内栽培を増やすため、難消化米を使った加工品開発も進めている。県内菓子メーカー2社がちんすこうやサーターアンダギーなどを試作中で、土産品への普及を目指している。県産土産の新たなPRポイントに「健康」をうたって県外産との差別化につなげる狙いで、県内メーカーに開発を呼び掛けていく。

 プロジェクトコーディネーターで、OISTの山田真久理学博士は「生産者が収入を得られるよう加工品開発を促し、難消化米を使った新たなブランドをつくっていきたい」と話した。