【北部】県内9市町村で、2010年以降の議会や首長選挙の立候補者の中で少なくとも37人が、公職選挙法で提出が義務づけられている選挙運動の収支報告書を期限内に提出していなかったことが27日、分かった。未提出の主な理由は「義務とは思わなかった」「出したつもりだった」など緊張感を欠くもので、選挙管理委員会のずさんな事務処理の実態も浮き彫りとなった。県明るい選挙推進協議会長の照屋寛之沖縄国際大学教授は「未報告は有権者の政治不信を招く」と指摘している。

 同日現在、提出遅れが分かったのは宜野湾市(1人)、金武(9人)、嘉手納(9人)の2町、伊是名(11人)、今帰仁(2人)、恩納(1人)、東(1人)、多良間(2人)の5村の議会議員選挙と、那覇市長選(1人)の計9自治体。沖縄タイムスの取材に対し、6町村の選管は「調査中」として回答を保留している。公選法では立候補者は投票日から15日以内の提出義務があり、未提出または虚偽の報告をした場合、出納責任者に3年以下の禁錮または50万円以下の罰金が科せられる。

 2013年1月20日投開票の嘉手納町議選では、期限内に9人が未提出だったが、その後全員が提出している。12年11月25日投開票の金武町議選では、議長や副議長など現職8人と落選した1人が期限内に提出していなかった。同町選管が今月4日に提出を求め7人が応じたが、2人が27日現在も応じていない。

 10年9月12日投開票の統一地方選では伊是名村が11人の立候補者全員。今帰仁村では2人、恩納、東の両村ではそれぞれ現職1人が提出していない。今帰仁村選管は「前の担当者が2~3回は催促していると思うが提出がなく、そのままになっていたのではないか」と話した。宜野湾市の1人は期限を過ぎて提出済み。

 12年11月11日投開票の那覇市長選挙では、落選候補者の1人が未提出のまま。

 照屋教授は「公職選挙法で金の流れを透明化するよう定めている。未報告は有権者の政治不信を招く」と厳しく非難。その上で、「根本的には立候補者の責任。ただ、選管が粘り強く要求することでルーズさをなくすこともできる。今回の件を反面教師に、県内全体で緊張感を高めてほしい」と警鐘を鳴らした。

金武選管「見過ごした」

 【金武】金武町選挙管理委員会(宜野座敏男委員長)は27日、緊急の会議を開き、2012年の町議選で立候補者9人が公職選挙法で義務づけられた収支報告書を1年以上も提出していなかった問題について対応策を協議した。

 宜野座委員長は「問題を見過ごしてきたことをおわびしたい。町民が信頼できる委員会になるように知恵を絞りたい」と陳謝。再度、早期の提出を求めていく考えを示した。

 同選管によると、町議選の法定選挙費用は約150万円。提出済みの報告書に関しても「問題はない」と判断していたが、提出後に報告書の収支項目の記載漏れの申し入れや、収支を「0円」とした報告書もあることから、領収書の添付など必要があれば再提出を求める考え。今後の選挙では、収支の記載方法についての研修会実施や、未提出者の告示などを検討するとした。

 同選管は12年の町議選前の説明会で、収支報告書の提出義務について周知したが、罰則規定については「説明していなかった」と言及。町議選直後に国政選挙があり「未提出者に対する催促がおろそかになっていた」と釈明した。選管担当者は「互いに襟をただしていきたい」と述べた。

 [ことば]選挙運動費用収支報告書 選挙運動に使われた金銭の流れをチェックできるようにするため、公職選挙法で提出が義務づけられている。同報告書は各自治体にある選挙管理委員会で閲覧できる。