県経済界の長年の悲願だった那覇空港第2滑走路の起工式が那覇市内のホテルで開かれた。沖縄総合事務局はすでに灯浮標(ブイ)を海上に設置する作業に着手している。

 那覇空港は滑走路を1本しか持たない国内空港では、旅客数・発着回数ともに福岡空港に次いで第2位を記録する過密空港である。加えて自衛隊との軍民共用空港である。滑走路1本では運用が限界に達しているのが現状だ。

 県は2021年度までに観光客1000万人を目指しているが、第2滑走路が完成すると、沖縄がアジア諸国の活力を取り込む文字通り「アジアのゲートウエー」に向けて動きだすことが期待できる。

 那覇空港を基点にアジアの主要都市を結んでいる全日本空輸(ANA)の沖縄ハブも、2本の滑走路の点検・補修をずらせば「24時間空港」として、物流ネットワークが拡大するのは間違いない。

 工期は県側の強い要望で1年2カ月縮められ、5年10カ月となった。完成時はちょうど20年の東京五輪・パラリンピック前に当たる。これ以上はないタイミングといえる。

 現場は外海に面しており、台風や冬場には波浪の影響を受けるため、夏場の作業を1日8時間から12時間に増やして対応する。だが「工期ありき」で、環境面への配慮がおろそかになってはいけない。

 大嶺海岸は那覇市に残る唯一の自然海岸で、絶滅危惧種を含む貴重な生物が多数確認されている。移植などが計画されているが、専門家らの環境監視委員会は厳しい目でチェックする必要がある。

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 那覇空港では2月に国際線ターミナルが完成した。現在、台北や香港などアジアの7都市を週61往復している。

 国内線ターミナルとの連結やモノレール駅の利便性に課題が残るが、13年の外国人観光客は55万人に達し、本年度は90万人を見込む。

 外国の大型クルーズ船に対応する那覇港旅客ターミナルの整備も進められ、4月の供用開始を目指す。税関・入管、検疫施設が整えられ、入国手続きの時間短縮を図る。14年は過去最高のクルーズ船の寄港が予定されている。

 ソフト面の充実も重要である。第2滑走路が完成するまでの期間を、受け入れ態勢の準備ととらえるべきだ。とりわけ外国人観光客におもてなしの心で接することができる人材の育成が急務だ。それには語学だけでは十分でない。沖縄の歴史や文化に通じている人材が必要不可欠である。

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 那覇空港は陸海空の3自衛隊が軍民共用する国内で唯一の空港である。自衛隊機のトラブルで空港が一時封鎖されることがあり、滑走路が1本しかないリスクだ。

 防衛省は島しょ防衛を念頭にF15戦闘機の1個飛行隊を那覇基地に追加配備する計画だ。航空自衛隊は第2滑走路の増設を見越してF15戦闘機の飛行回数を大幅に増加させることを想定している。

 民間需要に応えるための第2滑走路が戦闘機増強によって隣国との緊張を高めることになれば、本末転倒と言うしかない。平和産業の観光にもマイナスである。