どこまでも青く透き通った海の色は「ケラマブルー」と呼ばれる。海の中には豊かなサンゴ礁が広がり、春先にかけては繁殖期を迎えたザトウクジラが北の海から回遊してくる。その多様な生態系は世界に誇れるものだ。

 その慶良間諸島が、きょう正式に国立公園に指定される。指定区域は、座間味や渡嘉敷、阿嘉、慶留間など大小30余りの島々と諸島沿岸から7キロの海域を含む範囲だ。

 同海域は、有数のダイビングスポットであると同時に、ホエールウオッチングの名所である。

 渡嘉敷、座間味両村では、村や地元の事業者らが主体となり自然環境の保全と観光・地域振興に取り組んできた。自然公園法では「優れた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図る」としている。国立公園指定による「保護」と「利用」を効果的に生かし、地域の振興に結びつけてもらいたい。

 国が国立公園に指定するのは陸域、海域合わせて9万3995ヘクタール。サンゴ礁が高密度に見られる水深30メートル以内の海域を海域公園地区とし「優れた海中景観を重点的に保護する」としている。保護施設計画では、オニヒトデによる食害からサンゴを守るため渡嘉敷、座間味両村に「自然再生施設」を計画しているほか、利用者が、景観を楽しめる園地なども整備する方針だ。

 昨年末、環境省の中央環境審議会が慶良間諸島の国立公園指定を答申した際に「日本を代表する傑出した景観」と高く評価している。この海域景観を守り続けたい。

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 多様な生態系に加え、地元のサンゴ保全への活動も評価された。

 渡嘉敷、座間味両村は、エコツーリズム推進法に基づいた自然環境の保全と観光・地域振興、環境教育活動を行う協議会を設立した。協議会では2011年に「慶良間地域エコツーリズム推進全体構想」をまとめ、12年に国の認定を受けた。構想には、全国で初めて立ち入りを制限できる「特定観光資源」を盛り込み、同資源に「慶良間のサンゴ礁」を指定した。

 サンゴ礁がダイビングなどによる過剰利用や食害生物の多量発生で損なわれる恐れがある自然観光資源である-という考えからだ。

 慶良間海域では01年から06年ごろまで、オニヒトデが大量発生。地元ダイバーがボランティアで駆除に当たり、サンゴ保全に取り組んだ。構想はこれらの活動の積み重ねによるものである。

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 両村には環境省の自然保護官が配置され、地元への啓発活動などを行う予定だ。

 一時期、海水温の上昇やオニヒトデの大量発生で被害を受けたとはいえ、他の地域に比べ慶良間諸島のサンゴは健在だ。産卵で放出される卵は、潮の流れに乗って広がり、沖縄のサンゴ礁の環境を支えているといわれる。

 国立公園指定でこれまで以上に多くの観光客が訪れることが予想される。保護と利用のバランスで、環境の劣化をもたらすことなく、人類の宝である海域を、次代に引き継いでいかなければならない。