米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機が訓練中に風防ガラスを落下させた。北部訓練空域の海上に落ちたとみられ、船舶などに被害は出なかった。民間地に落下していたら、と考えるとぞっとする。

 米軍機から部品が落下するのは本土復帰から2012年末までに43件発生している。毎年のように起きている勘定だ。F15戦闘機については嘉手納に配備された1979年以来、風防ガラス落下だけに限っても4回目で、部品を含めると計13件に上っている。

 風防ガラスは、操縦席を覆っている透明の強化アクリル製ガラス。5日付の本紙1面に掲載されている写真は風防ガラスが吹き飛び、むき出しのまま嘉手納上空を飛行する操縦士の姿が生々しい。

 住宅密集地に存在する米軍基地としては普天間飛行場がクローズアップされるが、嘉手納周辺も同じ危険性を抱えていることを忘れてはならない。過去の風防ガラスの落下事故は2件が基地内、1件が今回と同じく海上に落ちていることからみても、民間地への落下を懸念するのは決して杞憂(きゆう)ではない。

 嘉手納所属の米軍機は、昨年5月にF15戦闘機が太平洋上に墜落、操縦士は緊急脱出した。同年8月にはHH60救難ヘリが宜野座村のキャンプ・ハンセン内に墜落炎上、乗組員1人が死亡している。

 今月2日には普天間に配備されているMV22オスプレイが嘉手納に着陸し、右側のエンジン部分から白煙が上がるのが目撃されている。

 米軍は今回の風防ガラス落下事故やMV22オスプレイのトラブルの原因を明らかにしていない。

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 風防ガラス落下事故など米軍機に関わる事故が明るみに出るのはほんの一部で、事故の背後には「隠された事故」が潜んでいるのではないかとの疑いが消えない。

 労働災害において有名なハインリッヒの法則がある。一つの重大事故の背景には29の軽微な事故があり、その背景にはさらに300のヒヤリとするような事故が存在する。

 この法則はさまざまな分野に適用することが可能であり、顕在化する米軍機事故の背後には軽微な事故、ヒヤリとするような事故が多数起きているに違いない。

 米軍の姿勢を航空評論家の青木謙知氏は「平均的な事故発生率であれば許容範囲とみて、事故防止にコストをかけない」と指摘している。これが事実であれば、とても納得できるものではない。

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 2004年8月に起きた普天間所属のCH53大型ヘリが沖縄国際大に墜落した事故は、整備士が後部回転翼の接続ボルトに装着する「コッターピン」の付け忘れという信じ難いことが原因だった。イラク戦争の配備に間に合わせるため、定められた睡眠時間がとれない中で起きている。

 米軍機への恐怖は墜落事故と結び付き、県民の記憶に深く刻み込まれている。風防ガラス落下の背後に事故を誘引する多くのトラブルが隠されているのではないか。人身事故とならなかったのはたまたまにすぎない。事故を過小評価してはならない。