シンクタンク「新外交イニシアチブ(ND)」主催のシンポジウム「『沖縄』そして『日本』における米軍基地問題とは何か」が5日夜、那覇市久茂地のタイムスホールで開かれた。米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に伴う政府の手法や、埋め立てを承認した仲井真弘多知事の評価などを議論。ND理事でジャーナリストの鳥越俊太郎氏は「日本が米国に従属する関係が変わらなければ、沖縄問題は根本的に解決しない」との見方を示した。

沖縄と本土で米軍基地問題がどう捉えられているのか意見を交わすパネリストら=5日午後、那覇市久茂地のタイムスホール

 鳥越氏は在沖海兵隊の撤退論を訴える米国会議員や研究者の言葉を取り上げ、「海兵隊を沖縄に置く必要がないという意見は日本に伝わらない。大手メディアが限られた情報しか報道しないことも影響している」と指摘した。

 辺野古移設の埋め立て承認の支持が県外で過半数を超えたことには「集団的自衛権の行使を議論するなど戦後体制からの脱却を目指す安倍政権が成り立つように、日本全体が保守化、右傾化し、その中で沖縄問題を考える人が少数派になっている」と語った。

 金、権力、情報を握る政府がなりふり構わず辺野古移設を推進する中、名護市長選で移設反対を掲げた稲嶺進市長の当選は「歴史的な出来事」と強調。移設作業が進めば「政治への失望感が広がり、体を張ってでも止めるという人が全国から集まる。辺野古問題は歴史に残る」と話した。

 本紙専任論説委員の長元朝浩氏は「米軍統治下の銃剣とブルドーザーのように日本政府が移設作業を強行すれば世界中が許さない」と政府の動きをけん制。「保守陣営を引っ張ってきた人たちの中から政府の強引さに反対する新たな動きが出てきた」とオール沖縄の再建に期待した。

 かりゆしグループの平良朝敬CEOは1990年以降、県内への観光入域客数が増加した推移を示し、「経済の仕組みは変わった。観光は平和産業。自信を持って沖縄に基地はいらないと声を上げよう」と訴えた。

 NDは米国との関係をめぐる日本の外交政策に政府間の声だけではなく、幅広い意見を集め、発信、提言することを目的に、昨年1月に設立された。