本来公開されるべき情報が特定秘密に指定され、国民の目から隠された。おかしい。本当に、罰則によって保護するに値するほどの「秘密」なのか。違うのではないのか。指定を解除すべきだ-。

 このような状況になった際、国権の最高機関である国会に、秘密指定の妥当性を監視する機能がないようでは、政府の暴走を食い止める効果は期待できない。「国会による政府監視」は形ばかりのものとなるのではないか。

 自民党の特定秘密保護法プロジェクトチーム(座長・町村信孝元外相)が、国会による特定秘密のチェック機関に関する制度設計原案をまとめた。

 原案によると、秘密指定を監視するため新たに国会に設けられる監視機関は、「政府による秘密指定の適否を判断しない」という。では何のための機関なのか。甚だ疑問だ。

 昨年12月に成立した秘密保護法に対しては、政府が特定秘密を量産して国民の「知る権利」や取材・報道の自由を脅かすとの批判が絶えない。恣意(しい)的な運用で、秘密の範囲が広がりかねない懸念も払拭(ふっしょく)できないままだ。

 にもかかわらず、法案審議が十分尽くされないうちに、安倍政権は強行採決に突き進んだ。

 高まる世論の批判に対し、政府は法成立の直前、秘密のチェック機関として「保全監視委員会」「情報保全監察室」などの設置を相次いで打ち出した。

 加えて自民党から示されたのが、衆参両院に監視機関として「常設の委員会」を設置する構想だ。

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 自民党プロジェクトチームの原案は次の内容だ。新機関は常設組織の位置付けだが、要請時のみ秘密会形式で開かれる。国会の常任・特別委員会が政府に特定秘密を含む資料などを提供するよう要請した際(1)新機関が政府に特定秘密の提供を要求(2)政府が新機関に特定秘密を提供(3)新機関で精査し委員会に対し「漏えいにならない範囲でフィードバックする」-という。

 つまり秘密の内容の精査はするものの、秘密かどうかの適否の判断はしない。政府から特定秘密の提供を受け、委員会への提供内容を調整するにとどまる。

 一方、国会審議で特定秘密を漏らした場合、国会で懲罰対象となる可能性がある。国会外であれば秘密保護法に基づき、最高5年の懲役などが科される。

 監視機能を果たすことより情報漏えいを防ぐことを優先したこの監視機関に、一体何ができるというのか。

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 自民党プロジェクトチームの原案に対しては、与党公明党のプロジェクトチームでも異論が相次いだ。秘密指定の妥当性を監視する機能を持たせるべきだとの認識で一致し、自民党に修正を働き掛ける方針だという。

 修正は当然だ。与野党で議論を重ね、小手先の対応ではなく、秘密指定解除を請求する権限なども明確にしてもらいたい。

 実効性のある監視機能が働かないのであれば、法律を施行すべきではない。