2012年度の生活保護費の不正受給が、全国で約4万2千件、金額にすると190億円余りと過去最多を更新したと、厚生労働省が発表した。自治体が利用者の収入を調べる態勢を強化した結果という

 ▼内訳を見ると「働いて得た収入の無申告」が半数近くで最も多いが、中には高校生のアルバイトを収入として申告しなかったなど「悪質とは言い切れない」ケースも含まれている

 ▼確かに不正は許されない。だからといって制度自体が悪く言われるのは、どうか。保護費全体の0・5%にすぎない不正のために、受給者全体が肩身の狭い思いをするような風潮はやりきれない

 ▼昨年9月、社会活動家の湯浅誠さんらが季刊誌「はるまち」を創刊した。生活保護家庭で育った若者が実名、写真入りで登場し、これまでの歩みや今の暮らしをありのままに語る、新しい形の雑誌だ

 ▼21歳の男性は「お小遣いのない家だったから、みんなが部活の終わりにジュースを飲んでも、自分は飲まなかった」と振り返る。34歳の男性公務員は生活困窮者の相談を受ける今の仕事に、受給の経験を「活かせれば」と話す▼当事者の飾らない言葉が、根拠のないバッシングを一つ一つはねのける。生活保護を受けながら将来に向かって頑張ってきた人たちの声を、ぜひ聞いてほしい。(森田美奈子)