県は来年度、県内観光にマイナスの影響を与える多様な「危機」を想定し、対策や早期回復などにつなげるため、「観光危機管理基本計画(仮称)」の策定に着手する。地震や津波、台風など自然災害にとどまらず、風評被害など経済・社会問題から派生する「危機」も幅広く想定。観光客の生命・財産をはじめ、観光地・施設、従事者を含む観光業界全体を守り、危機からの早期の立ち直りを促す仕組みを整える。観光分野に特化した危機管理計画の策定は、全国の都道府県で初の試み。

 計画の骨子案(抜粋)によると、観光危機の定義として(1)観光客・旅行者、観光地・観光産業に望ましくない影響を与える(2)限られた時間と不確実な状況の中で意思決定をしなければならない(3)災害等以外の社会・経済の変動、県外で発生した事案の脅威も該当-としている。

 海外の先進事例を参考に、減災、危機への備え、対応、回復・復興の四つを挙げ、それぞれ具体策や執行体制、フィードバックの仕組みを検討。計画策定後も新たな課題を踏まえて、定期的に見直し、危機管理のレベルを上げていく考えだ。

 県は4月以降、観光に関連する企業や団体、市町村などと意見交換。策定委員会を発足させ、来年度内に計画をまとめる方針だ。

 県文化観光スポーツ部の前原正人観光振興課長は「県の地域防災計画で自然災害などの『危機』から県民の生命・財産を守ることが定められているが、観光産業の『危機』には対応し切れていない。対象や危機の想定範囲を拡大することで、両計画が補完し合う関係になるのではないか」と述べた。