東村高江の米軍北部訓練場で進められているヘリコプター着陸帯の建設工事で、沖縄防衛局が「県赤土等流出防止条例」に違反していることが分かった。着陸帯工事は、住民らの反対運動を押し切って強行されている。

 防衛局が県に提出した「事業行為通知書」では、着陸帯工事に伴う残土置き場の面積を560平方メートルとしていたが、残土の量が増えたため、県に通知せず別の場所に残土を置いていた。変更がある場合は県知事へ通知しなければならない。県が防衛局を厳重注意としたのは当然である。

 防衛局は残土の量は調査中で、表面をシートで覆い、流出はみられないと説明している。県の立ち入りを早急に認め、なぜ県条例をなおざりにするようなことが起きたのか、速やかに公表するとともに、工事が県条例に明確に違反しており、防衛局は工事をストップすべきだ。

 日米両政府は1996年、北部訓練場約7500ヘクタールのうち約4000ヘクタールを返還することで合意した。着陸帯の移設が返還条件となっており、既存の7カ所の着陸帯を高江地区を取り囲むように6カ所に移設することを計画している。1カ所は2013年に完成している。県条例違反は建設中の2カ所目で起きた。

 着陸帯はオスプレイも使用する。騒音、排ガスの熱や風圧によって、やんばるの豊かな森林に生息する多くの貴重種の動植物が致命的な打撃を受ける。民間地とは400メートルしか離れていない。静かな生活環境が破壊され、墜落事故や低周波音への懸念が増す。

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 沖縄防衛局の着陸帯建設工事は、ずさんと言わざるを得ない。13年7月には県が建設現場に立ち入り、沖縄防衛局職員に県条例に基づく赤土流出防止対策の不備について口頭で指摘している。

 防衛局は県条例に違反することを知っていながら、残土を処理したのではないか。現場周辺で赤土を搬出しているトラックを確認した、との情報を建設に反対する住民が県に通報したことなどが発覚の発端だからである。

 着陸帯は直径75メートルの円形で、森林を伐採して造成する。希少植物の移植は失敗し、着陸帯周辺の樹木の状態も工事前と比べ全体的にやや悪化していることが防衛局の調査で判明している。

 県条例に罰則はあるが、民間事業に関してだけである。国や市町村の公共事業には罰則が適用されないのはおかしい。条例を改正する時期だ。

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 県は13年9月、「県赤土等流出防止対策基本計画」を策定しているが、米軍基地がネックになっている。基本計画では、詳細なモニタリングを実施し、現状把握に努める。工事の際に防止対策を適切に実施していく必要がある、との趣旨の認識を示している。だが、防止対策は策定されておらず、具体性に欠ける。

 日米地位協定で米軍の排他的管理権が認められ、基地内は県などの監視の目が及ばない。基地内では環境保全対策がないがしろにされているのではないか。今回の県条例違反はほんの一端ではないのか。そんな疑念が消えない。