「有識者ではなく、活動する一市民の立場から話します」-。目の前の大物議員らにそう前置きすると、ハリウッドスターは一気に話し始めた。

 2月26日の米上院外交委の公聴会。コンゴ民主共和国の現状を証言するために出席したのは、米俳優のベン・アフレックだ。

 アフレックは昨年、CIAによる人質救出作戦を描いた映画「アルゴ」で監督・主演を務め、アカデミー賞作品賞を受賞した人気、実力ともにトップ級の俳優。プライベートでは、コンゴ難民救済の人道支援活動家として知られる存在だ。

 アフレックが初めて現地に足を踏み入れたのは2006年。以来、何度も足を運び、08年に内戦や飢餓に苦しむ人々の姿をつづった短編映画を制作。10年には非営利団体を設立し、レイプ被害者の救済や医療や教育の支援プログラムを実行している。

 アフリカ大陸で2番目に大きいコンゴの人口は約7千万人。02年のプレトリア和平合意後、約10年以上に及ぶ紛争では500万人もの命が犠牲となった。

 約2時間半に及んだ公聴会でアフレックは、「ようやく平和と安定を取り戻しつつあるが、生活水準はアフリカの中で最も低い」と述べ、具体的な提言を交えながら「コンゴの人々の尊厳にどう向き合うかが問われている」と支援を訴えた。

 昔も今も、ハリウッドと密接な関わりを持つワシントンで、スターの知名度は強力な武器となりうる。アフレックの長期にわたる地道な行動を評価する一方で、ワシントンにやってくるセレブたちに「注目を集めるだけの存在」と冷めた視線を送る議員も多い。

 映画監督のオリバー・ストーンら、沖縄を支援する海外有識者声明に対する米メディアの関心の低さは、恐らくこうした背景があるのだろう。

 彼らが発表した声明は「沖縄の人々による平和と尊厳、人権と環境保護のための非暴力の闘いを支持する」と結ばれている。

 米国は今、沖縄の尊厳にどう向き合っているのか。私たちは声を張り上げ、問い続けていかねばならない。(平安名純代・米国特約記者)