【与那国】与那国町への陸上自衛隊沿岸監視部隊の配備計画で、駐屯予定地の町有地を使用している「農業生産法人南牧場」が部隊施設建設に向け、使用契約を解除する方針を固めたことが12日、分かった。補償をめぐり、牧場側要求と沖縄防衛局の提示額に差があり、交渉は難航していたが、建設に向けた手続きが進むとみられる。防衛局は先に合意した土地部分から造成を始め、2015年度末までの部隊配備を目指す方針を示している。

与那国町の陸自沿岸監視部隊施設計画

 町内関係者によると、今月5日、同牧場の会合で補償を受け入れるか審議したが賛否に分かれた後、代表が辞意を表明。新しく選出された代表が採決を提案し、組合員8人中、欠席1人を除き、賛成5、反対2で補償を受け入れることを決めたという。

 町と沖縄防衛局は昨年6月、牧場側の契約解除を前提に町有地21・4ヘクタールを賃貸する仮契約を締結。防衛局は主要施設の建設予定地では別の地主と交渉・手続きを進め、陸上競技場などの予定地を使用する南牧場には牛舎などの物件補償を提示していた。

 牧場側は牧畜面積減少に伴う運営の影響や、これまでの投資分を補償に加えるよう求め、昨年末には交渉が決裂。今回は一部の組合員が防衛局と独自に交渉し、組合員に提案したとみられる。

 賛成した組合員の一人は「契約解除の時期やどう手続きをするか、まだ聞いていない。早めに(手続きを)進めてほしい」と話した。一方、配備に反対する住民の男性は「組合の規約にのっとった採決だったか疑問だ」と正当性を疑問視。「島は依然、賛否に分かれており、多数決だけで物事を進めるのは禍根を残す」と指摘している。(新崎哲史)

 [ことば]沿岸監視部隊 領海、領空の境界に近い地域に配備され、沿岸レーダーで付近を航行・飛行する艦船や航空機を監視する部隊。北海道の礼文、稚内、標津に配備され、与那国では約150人の隊員規模を検討している。