那覇市が情報公開条例をめぐり、社会通念に照らして不適切で公開請求の権利の「濫用」と認めた場合、請求を拒めるとする条文を盛り込んだ改正案を開会中の市議会に提案していることが分かった。権利の「濫用」に関する規定は県内自治体で初めて。一方、行政が恣意(しい)的に判断し「知る権利」を妨げかねないとの懸念も出ている。(西江昭吾)

那覇市情報公開条例 濫用をめぐる改正内容

 改正案は4条の「利用者の責務」として「公開を求める権利を濫用してはならない」と新たに明記。さらに11条で「条例本来の目的を逸脱し、社会通念上適正な権利行使と認めることができない請求があった時は濫用とみなし、請求を拒否できる」と定めた。

 那覇市は「近年全国的に、業務停滞や職員の個人攻撃を目的としたり、請求しながら文書を受け取らないなど権利濫用が問題化している」とし、「那覇市でも該当の可能性のある事例が散見される」と制定の必要性を説明している。

 一方、濫用の定義について11条で、請求者の言動、請求内容・方法を踏まえ、(1)目的が公開以外にある(2)公開を受ける意思がない-の2点が明らかに認められる場合に限ると明記。「拡張して解釈してはならない」とした。

 ただ、請求者の権利を制限するような条文には、憲法で保障された「知る権利」との兼ね合いで問題点を指摘する声もある。

 市側は「明確に規定したのは職員の恣意的運用を防ぐためで、市民の権利を制限する意図ではない」と説明。大量の文書請求は濫用の対象外とする考えを示した。

 条例改正案は20日の市議会予算決算常任委員会の採決を経て、25日の最終本会議で可決されれば成立する。7月1日施行予定。

権利後退の恐れ

 情報公開制度に詳しい前津榮健沖国大教授の話 条例制定から長い時間がたち改正はやむを得ないが、4条は認めるとしても、11条は情報公開を後退させかねない。「権利の濫用」は非常に重い判断で、司法でも簡単に使わない。請求者の言動・内容・方法で職員が判断できるのか。健全な行政への批判精神が「妨害」と解釈される恐れがある。何人も持つ権利への制限を請求者に当てはめるのは情報公開の立法趣旨からしておかしい。(市の姿勢として)大きな転換だ。

 [ことば]那覇市情報公開条例 1988年に制定。他の自治体に先駆けて基本的人権として「知る権利」の保障を明記するなど先進的内容が評価されてきた。今回が初の全面改正となる。全国市民オンブズマン連絡会議が昨年47都道府県と全国783市を調べたところ、「濫用」認定で請求拒否を定めているのは16カ所。県内ではうるま、南風原、久米島の3市町が「権利行使で得た文書を濫用せず適正に使わなければならない」と文書の使い方を定めているが、請求の濫用を盛り込んだのは那覇市が初めて。