【浦添】浦添市はこのほど、前田集落で信仰の対象となり、崩れる危険性があった琉球石灰岩「ワカリジー」の風化防止工事を終えた。総工費2500万円をかけ、岩専用の接着剤で亀裂をふさぎ、表面に岩盤模様を彫刻、全体を樹脂製のネットで保護した。浦添城跡の世界遺産登録を目指す同市は「ワカリジー」を周辺地域の建築物の高さを規制するための指標に活用することを検討している。一方で、ワカリジーの存在を知らない市民も多く、歴史的な価値の浸透が課題に挙がっている。

風化防止の工事が終わったワカリジー=浦添市前田

 ワカリジー(ハナリジー)は稜線(りょうせん)から離れて突き出た岩という意味。浦添城跡の東端にあり、高さ約13メートル。頂点は標高148メートルになる。読谷村や知念半島など本島中南部を一望できる。

古い文献にも記録され、沖縄戦の激しい戦火でもその形を残した。

 前田集落から「拝所なのに木で覆われて見えない」との声が上がり、浦添市は2009年度に周辺を伐採。その際、造園業者から「ワカリジーはいつ崩れてもおかしくない状態」と指摘されたため、13年10月、風化防止工事に着手した。

 モノレール延長や近くの前田公務員宿舎の売却などで周辺地域の開発が予想される。

 市は浦添城跡の世界遺産登録のために、景観保全が必要と判断。ワカリジーを指標に、3月中に建物の高さの具体的な規制値を固めるスケジュールだ。

 ただ、景観づくりには市民の広い理解が必要。ワカリジーを「どんと構えた前田の神様」と慕う前田自治会の石川仁孝会長(59)は「首里城のようにライトアップできたらいいねとの声もある。ワカリジーを前田以外にも広く知ってほしい」と話している。