【東京】八重山地区で異なる中学校公民教科書が使用されている問題で文部科学省は14日、教科書無償措置法に基づいた採択をしていないとして、竹富町教育委員会に地方自治法に基づき是正要求を出した。下村博文文科相が同日の会見で明らかにした。国が市町村に直接要求するのは初めて。町教委の慶田盛安三教育長は「法律上、採択権は町教委にある」と反発。これまで全教育委員も同様の見解を示していることから、新年度も「東京書籍版」の教科書を継続使用する可能性が高い。

 竹富町教委は24日に委員会を開き、国地方係争処理委員会への審査申し出なども含め、今後の対応を検討する。

 是正要求は、新年度から八重山採択地区協議会が答申した保守色の強い「育鵬社版」に統一させるのが狙い。竹富町教委は新年度も本年度同様、東京書籍版の教科書を購入する手続きをとっている。

 是正要求を受けると自治体側は対応を見直す法的義務が生じるが、従わなくても罰則はない。異例の措置を取ったことについて下村氏は「新年度が迫っているのでぎりぎりの時期。緊急性がある」と説明した。

 竹富町教委へ是正の要求を指示された県教委が、5カ月間審議を継続していることに対して下村氏は「法律上の義務を負っているにもかかわらず、要求しなかったのは極めて遺憾。重大な事務の怠りである」と指摘。14日、県教委へも指導する通知も送った。

 地方教育行政法に基づき竹富町教委は、育鵬社版ではなく東京書籍版を採択。無償措置法に基づかない場合は国の無償給付の対象外となるため、寄付金で独自に教科書を購入して2012年度から生徒に配布している。

 無償措置法では、共同採択地区内で同じ教科書を採択しなければならないと定めていることから、菅義偉官房長官は同日の会見で「法治国家なので一日も早く従ってもらいたい」とし、政治介入には当たらないとの認識を示した。

 下村氏は竹富町教委の動向を見守るとしつつ、竹富町教委が要求に従わない場合の違法確認訴訟について「適切に判断をしていくことがあるかもしれない」と述べた。

国の要求は残念

 諸見里明県教育長 竹富町教委に対する国からの是正要求の指示への対応については、県教委において慎重に検討していたところ。今回、竹富町教委へ直接是正要求が行われたことは残念に思う。対応については、引き続き県教委で検討していきたい。