水産庁が、沖縄近海での外国漁船の違法操業取り締まりを強化するために、4月に専門部署を県内に設置する方針を固めたことが14日、分かった。尖閣諸島周辺の漁業権をめぐる日本と台湾の取り決め(協定)に、沖縄の漁業者の反発が根強く、無許可操業の対策を強化することで不満を和らげたい考えだ。

 取り締まりはこれまで、内閣府沖縄総合事務局の水産業などを担当する部署が実施。昨年5月の協定の運用開始以降、台湾漁船4隻を漁業主権法違反(無許可操業)の疑いで拿捕(だほ)している。

 政府関係者によると、新部署は10人程度で、取り締まりを統括する。マグロ漁のシーズンを迎える4月中旬にも運用を開始する方針。違法操業への迅速な対応を求めていた地元漁業者の要望を受けて設置を決めた。

 協定の運用開始で台湾漁船はクロマグロの好漁場である先島諸島北側の排他的経済水域(EEZ)での操業が可能になった。沖縄では「県漁業者にとって不利なものだ」との不満があり、協定の見直しを求める声が相次ぎ、トラブルを恐れて適用水域での操業を自粛した船もいた。

 県によると、台湾漁船が多数操業した昨年5~7月の八重山漁業協同組合(石垣市)のクロマグロの漁獲量は直近3年間の同時期の平均より20%減少。今年1月に漁船間の距離などを定めた操業ルールが日台間で策定され、今年は日本漁船の操業も回復すると見込まれている。

漁具被害を全額補助 県、漁業基金の概要公表

 県農林水産部は14日までに、日台漁業協定の影響に伴う県内漁業者の経営安定を図るための「沖縄漁業基金」の概要を公表した。操業上の課題に関する支援策と漁業者の経営安定対策が大きな柱で、県内漁業関係者らが強く求めた漁具被害の全額補助が盛り込まれた。県水産課は「おおむね現場の要望が手当てされている」と内容を評価した。

 台湾漁船など外国漁船によりはえ縄が切られるなどして破損した場合は、基金から全額補助する。長さが数十キロもあるはえ縄は一式300万~400万円と高額の上、破損から修繕までに一定の時間を要するため、予備の漁具も基金でそろえ、切れ目のない操業につなげる。トラブルなどの未然防止につなげるための海上での警戒、情報収集活動にかかる経費も対象になる。

 漁業者の経営安定を図る対策では漁業者や漁協が設備投資や運転資金のために借り入れた際の利子や債務保証を手当てする。漁業者が漁獲の低迷に備えて加入する共済掛け金の保険料を最大2分の1を補助する。現在の漁をたたみ、船を処分する際の費用や、規模や漁種を替えて再出発に必要な装備への助成も盛り込んだ。

 100億円の基金は全額国庫で、国の補正を経て2月に造成された。公益財団法人県漁業振興基金(県水産会館内)に設置され、4月にも運用を始める。県は今後、必要に応じてメニューの追加・修正を関係団体と連携して国に求めていく考え。