【平安名純代・米国特約記者】米政府は、米軍基地の環境浄化に毎年約40億ドル(約4千億円)を投じている。日米で米軍基地の環境汚染除去作業はどう違うのか。米カリフォルニア州マーチ空軍基地で15年、嘉手納基地で3年、環境保全を担当した國吉信義さん(75)=那覇市出身、米国在住=は「米国では環境法の下、初期調査から汚染除去完了までのプロセスにおける徹底した監視体制がある」と指摘する。

 國吉信義さん 那覇市生まれ。1962年渡米、カリフォルニア大学ロサンゼルス校卒業地質学博士号取得。連邦政府に32年間勤務。2005年から3年間、嘉手納基地の環境プログラムマネージャーを務める。現在は北米沖縄県人会長。

 環境汚染を問題視する市民団体の圧力を受け、米国では1980年代から連邦政府が法整備に乗り出した。環境を汚染した者に除去を義務づける包括的環境対処補償責任法(CERCLA=通称スーパーファンド法)や、現状を管理する資源保護回復法(RCRA)などが成立。初期調査から汚染の完全除去までの工程とともに、米環境保護局(EPA)、州、郡の各レベルで定期的に進行状況を確認する監視体制が確立された。

 國吉さんは「汚染除去を怠る場合は政府が代行し、費用を請求。支払わない場合は法的措置も講じられる仕組みが整った。米軍もこの法制度から逃れることはできない」と話す。

 基地内の汚染は、燃料施設タンクからのオイル漏れや、洗浄剤や溶剤の使い捨てなどによる土壌や地下水の汚染、変圧器からポリ塩化ビフェニール(PCB)などの有害化学物質が漏れるケースなどさまざま。「汚染地は、過去の記録の調査だけでなく、関係者の証言を丹念に拾いながら特定していく。マーチ基地には、地下水の汚染状況を常時モニターする監視井戸が12平方マイル内に約400本ある」と話す。

 浄化の取り組みが促進される背景にあるのは、監視状況を地元住民に公開する可視化されたプロセスだ。

 「軍が勝手に作業を始めて終わりました、という単純なプロセスではない。連邦、州、郡の環境部の監視団と軍と業者が毎月会議し、進捗(しんちょく)状況を確かめ合う。EPAや州、郡は米軍作業の進捗監視として官僚組織をつくっている。彼らの給料や経費は全て軍の負担。軍は費用を出して監督される立場になる」

 一方で、米国内の基地と違い、嘉手納には現状管理のRCRA関係の従業員が数人いるのみ。「環境法成立前から使用されており、相当汚染されている可能性もある」と危機感を示す。

 大量のドラム缶が次々と見つかる現状にも「日米地位協定の改定は当然」と前置きした上で「まず、日米両政府の汚染調査の報告内容を審査する専門機関の設置が必要だ。地元住民や行政、専門家で構成し、日米両政府の報告内容を精査する。必要があれば調査のやり直しを要請する権限を持つものでなければならない」と課題を挙げた。