どのような理念を掲げ、どういう手法で進めていくのか。地域の活性化にとって大切なのは、情報公開と説明責任を両輪にして広く議論を起こし、地元住民に愛着が感じられ、誇りの持てる利活用事業を進めることである。

 国内唯一の民間ジェット機用のパイロット訓練飛行場として利用されてきた下地島空港(宮古島市)が、大きな曲がり角にさしかかっている。一足早く撤退した日本航空(JAL)に続いて全日本空輸(ANA)も、来年度限りで完全撤退することが決まっているからだ。

 撤退の主な理由は訓練経費の削減である。シミュレーション機器の性能向上、訓練に対する法的な規制緩和などが進み、下地島空港で実機訓練をしなくても他空港での訓練で資格取得が可能になった。

 県とANAの調整の結果、2014年度は維持管理費約3億6千万円のうち県が1億6千万円を持ち出し、ANAが約1億8千万円を負担することで合意した。14年度限りという条件付きである。

 下地島空港は、航空会社からの訓練使用料を主な財源として県が管理運営している。2大航空会社が撤退したあとも引き続きパイロット訓練飛行場として維持していくのは難しい。どうしたらいいか。

 ここに来て新たな活用法として浮上しているのが「総合防災訓練複合施設案」である。宮古島市の下地敏彦市長が県に要請した。自然災害やテロなどを想定し、救助物資の備蓄倉庫や訓練施設を整備し、学びと実訓練の場を提供する構想だ。

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 テロという言葉がひっかかる。それに対応できるのは自衛隊や米軍しかいない。

 下地島空港については「屋良覚書」「西銘確認書」が存在する。1971年に屋良朝苗行政主席が国と交わした覚書も、79年に西銘順治知事が国と交わした確認書も、下地島空港を軍事目的で使用しない、ことを明確にしている。

 だが、尖閣諸島の領有権問題が表面化して以降、防衛省側から空港利用の話が絶えない。F15戦闘機の常駐化や警戒管制機の利用などが、浮かんでは消え、消えてはまた浮上するという案配だ。

 那覇空港の第2滑走路建設に合わせて航空自衛隊は、F151個飛行隊を追加配備する。本島中部には「極東最大」と形容される嘉手納基地があり、北部では辺野古沿岸部を埋め立て、新たな機能を備えた海兵隊飛行場を建設しようとしている。その上、下地島空港まで軍事化するというのか。

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 下地島空港の活用にあたっては、基地負担の実質的な軽減という方向に沿って、従来から堅持してきた「平和利用の原則」を理念として掲げるべきである。

 宮古島市は空港と周辺残地の活用を「21世紀の宮古圏振興をけん引する最重要施策」と位置づける。地元だけでなく沖縄全体の将来像にも影響する重要な課題である。

 東アジアの緊張を高めるのではなく、対話を促進したり国際協力を深めるような、開かれた21世紀型の活用法を検討してもらいたい。