「草食男子」という造語が生まれたのは7年ほど前。2009年には流行語大賞のトップ10に選ばれるほど認知された

▼知った気でいたが、大阪府立大の森岡正博教授の定義をあらためて引くと「心が優しく、男らしさに縛られず、恋愛にガツガツせず、傷ついたり傷つけたりすることが苦手な男子」を指す

▼先ごろ発表された世論調査で、日本の男性は恋愛に消極的な「草食化」が進んでいると考える人が69%に達した。30代女性に限ると83%にも上るというから、若い異性ほど実感があるのだろう

▼草食男子は、国の将来と絡めてほぼマイナスに語られてきた。家や車を手に入れたいという物欲がなく日本の市場が縮むとか、恋愛を面倒くさがって人口減少が進む一因になるといった具合だ

▼半面、調査では20代男性の88%が恋愛イメージを「人生に前向きになれる」とも回答した。優しく、男らしさからも自由という定義と合わせ、家事や育児に自然に関われる姿がにじむ

▼気になるのは84%が「恋愛はお金がかかる」と答えたことだ。経済力が行動や考え方に影響を及ぼすのは珍しいことではない。国の危機を憂える前に、非正規雇用の拡大など若者の人生を取り巻く厳しい環境に目を向けたい。草食化は現実社会を如実に映す合わせ鏡ともいえるのだから。(与那嶺一枝)