下落が続いていた県内の地価が、22年ぶりに上昇に転じた。入域観光客数の増加など県内景気の拡大傾向を反映したものといえよう。

 国土交通省が発表した2014年1月1日時点の公示地価で、県内は住宅地、商業地、工業地の全用途の合計で、前年比0・3%上昇した。

 公示地価は、土地の売買や資産評価の際に適正な価格を判断する目安となるほか、経済の活力を示す指標となっている。県内は、好調な景況に加え、沖縄都市モノレールの延伸工事に伴う沿線などでの住宅・土地取引の需要の高まりなどが好材料となった。

 住宅地は0・1%、商業地は0・5%、それぞれ上昇し、ともに前年のマイナスからプラスに転じた。

 4月からの消費税増税という不安要素があるものの、県内地銀のシンクタンクなどは、強気の見通しを示す。

 「増税後の反動減を乗り越え、デフレ脱却に至れば、伸び率はプラス圏内での動きが持続するだろう」(りゅうぎん総合研究所)「好調な県経済の成長力を見込んだ県外からの投資も影響している。税率10%引き上げまでは、上昇傾向が続くのではないか」(海邦総研)などと予測する。

 住宅地、商業地とも需要の高い那覇市とその周辺での地価上昇が県全体をけん引した。その一方で、中北部や離島では横ばいや下落となり、都市部との「格差」が浮かび上がった。県土の均衡ある発展を考える上で、格差の拡大を懸念せざるを得ない。

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 地価の格差拡大は全国的にみても顕著である。東京、大阪、名古屋の三大都市圏は住宅地、商業地とも6年ぶりに上昇に転じた。地方都市の一部でも地価が上昇し始めている。

 低金利政策の影響でマンションやオフィスの需要が高まっていることに加え、投資目的の売買が地方都市に波及しているとみられる。

 地方では札幌や仙台、福岡各市のほか、那覇市などで住宅地、商業地とも上昇したが、全体では下落した地点が4分の3を占める。地価は大都市と地方だけでなく、地方でも二極化が進んでいる。

 地方の多くでは、人口減少と高齢化が進み、住宅需要や消費が低迷、それに伴い地価の下落が続くという状況を抜け出せないのだ。

 東京五輪に向けたインフラ整備などで格差は一層広がるだろう。政府は、この二極化を解消する政策を進める必要がある。

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 地価回復には、活力ある地域づくりが不可欠である。県内の平均地価が上昇した背景には、知名度の高い観光地であることや景気の拡大に加え、移住先として人気があることなども要因とされている。

 交通の便など利便性の高さだけが、その地域に「住みたくなる」理由ではないだろう。地域ぐるみの子育て支援や穏やかな人間関係など、幸い県内の地方には、都市にはない魅力を十分に生かせる素地がある。地域の創意工夫と、政府や県にはその取り組みを後押しする支援策を整備してもらいたい。