ほおをなでる風が心地よく感じられるようになった。木もれ日の包み込むような柔らかさも、この季節ならではの充実感を与えてくれる。

 春の訪れを告げる第66回「沖展」(沖縄タイムス社主催)が22日から4月6日まで、浦添市民体育館で開かれる。

 沖展は、敗戦の傷痕が生々しく残る1949年7月、沖縄タイムスの創刊1周年記念事業としてスタートした。米軍統治下の、ないない尽くしの文化環境の中で、沖展は住民の芸術文化への渇望を癒やす数少ない機会だった。

 復帰後、県立芸大が開学し、公立の美術館、博物館、工芸館が次々に整備され、復帰前とは比較にならないほど作り手の発表の場が増えた。沖縄を飛び越えて本土や世界の公募展に挑戦する若い美術家や工芸家も目立つようになった。貧弱な文化環境の下で発展した沖展は、時代の急激な変化によって存在価値が薄れ、このまま衰微していくのではないか、と指摘された。現実はどうだろうか。

 沖展の最大の特徴は、美術展でもなく工芸展でもなく、これらを併せ持った総合展だという点である。66回目の一般応募作は1099点、展示数は会員、準会員の作品を含め890点。分野は7部門12ジャンルに及ぶ。

 新人の登竜門として若手作家の作品を数多く展示するだけでなく、見る機会の少ない人間国宝や県指定無形文化財保持者らの至高の工芸品なども展示されている。

 これだけの作品を一度に展観できる「総合性」「一覧性」を備えた展覧会は、全国でもめずらしい。

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 「総合性」「一覧性」という分野横断の展示方法と、沖縄の伝統文化や暮らしに根差した地域性豊かな作品群。沖展が時代の変化にさらされながら息長く持続してきたのは、そのあたりに理由がありそうだ。

 66回沖展の絵画部門では、現代アート風の作品よりも具象、半具象の手堅い作品が目立った。沖展会員で絵画部門の審査を担当した佐久本伸光さんは「表現の幅はいろいろあったほうがいいけれども、どうしても会場の制約がある」と指摘する。

 彫刻部門は、昨年に引き続き充実した作品が多かった。

伝統的な人体塑像へのこだわりのほか、見て楽しく気持ちがワクワクするようなオブジェ風作品などもあり、子どもたちにも楽しめそうだ。

 米軍普天間飛行場の辺野古移設やオスプレイ配備を取り上げたいくつかの作品は、この問題が沖縄にとって生活に根差した政治課題であることを物語っている。

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 沖展にはもう一つの特徴がある。一つの作品を見るために、家族、親戚、知人友人が会場に訪れ、この機会にすべての展示品を鑑賞することで沖縄の「芸術文化の現在」を肌で感じることができる、という点だ。

 那覇市内の学校を転々としていた沖展が会場を浦添市民体育館に移したのは88年の40回から。この周辺は、家族がそろって芽吹きの季節を感じることのできる絶好の場所でもある。