オバマ米大統領の仲介で、安倍晋三首相と韓国の朴槿恵大統領の初の直接対話が実現することになった。

 オランダ・ハーグで24日から開かれる核安全保障サミットに合わせ、安倍首相とオバマ大統領、朴大統領による日米韓首脳会談が25日にも開催される。

 安倍政権は発足以来、日韓、日中との首脳会談を一度も開いておらず、東アジア外交は異常な状態だ。安倍首相はこれを、中韓両国との関係修復の足掛かりにすべきだ。

 歴史認識問題を理由に安倍首相との会談を拒んできた朴大統領が、軟化の兆しをみせたのは、首相が参院予算委員会で、日本軍「慰安婦」問題をめぐり軍の関与と強制性を認めた1993年の河野洋平官房長官談話について「見直すことは考えていない」と表明したことだった。

 首相は、過去の植民地支配と侵略を認めた95年の村山富市首相談話についても「歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる」との姿勢を示した。これに対し、朴大統領は「幸いに思う」と前向きに評価していた。

 しかし、安倍首相が河野談話の見直しを否定したのは、安倍政権が河野談話の作成経緯に問題がないか検証する方針を示し、韓国などの反発を受けたからである。

 一部の野党や政権内には見直し論がくすぶるが、河野談話は未来志向に向けた両国関係の原点である。安倍政権は、談話見直し否定を今後も堅持すべきだ。見直し姿勢に転じれば、国際的な信頼失墜は免れない。

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 日韓関係は、2012年8月、韓国の李明博前大統領の竹島上陸以来、こじれたままだ。両国の政権交代を経ても、歴史認識問題などをめぐり関係は一層悪化した。

 韓国の朴大統領は、日本が歴史問題で態度を変えない限り首脳会談に応じないと、日本への強硬姿勢を崩していない。一方、安倍首相も「対話のドアは開かれている」と言いながら靖国神社を参拝するなど、誠意を疑う言行で韓国を刺激した。

 今回、米国が間を取り持ったことで直接対話が実現するが、米国抜きの2国間会談は行われない見通しだ。議題は、核不拡散問題や北朝鮮問題が中心で、日韓の間に横たわる「慰安婦」問題など懸案事項は扱われないという。

 日韓は民主主義という共通の価値観を持つ隣国同士である。2国間だけでの対話ができない事態は、早急に改善しなければならない。

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 内閣府が22日公表した世論調査によると、日本が悪い方向に向かっている分野に「外交」を挙げた人が38・4%に上りトップとなった。安倍首相の靖国神社参拝でぎくしゃくした日米関係や領土問題をめぐる中韓両国とのあつれきが影響しているとみられる。

 気になるのは、米政府が日韓の対話断絶が北朝鮮に対する結束を乱すだけでなく、海洋進出を強める中国を利するとの判断があることだ。日米韓が中国と対峙(たいじ)する構図は避けなければならない。東アジア外交を正常な形にする道筋をつくるべきだ。