「グアムの代表はグアムを代弁すべきだ。われわれの代弁はできない」

 米内務省が2月末に開いた会議で、北マリアナ諸島のゲレロ下院議長が思わず声をあげた。

 批判の矛先が向けられたのは、グアム選出のボダリヨ米下院議員。その場にいた地元の指導者たちの頭越しに、「北マリアナ諸島は同島における米軍基地拡張計画を支援している」と発言したのである。

 ミネソタ州出身の同議員は、父親の仕事でグアムに移住。同州の大学卒業後にグアムに舞い戻り地元テレビ局に就職した後、州知事との結婚を経て、2003年に下院議員に当選した。

 在沖米海兵隊のグアム移転計画の熱心な誘致派で、米議会では「辺野古埋め立て承認は大きな進歩。日本の資金凍結を解除して計画の前進を」などと主張し、実弾射撃場建設に対する自身の地元の反対を「克服すべき課題」と形容する。

 歴史を振り返ると、グアムと沖縄の共通項が浮かんでくる。

 スペインの植民地から1950年に米領となったグアムが自治権の回復を模索していた頃、実は米政府は75年にグアムに自治領の地位を与える勧告を承認していた。しかし、この重大な決定はグアムには伝えられず、2002年に機密解除された米公文書で初めて明らかとなったのである。

 実現していれば、グアムは米政府を介さずに、他国と軍事や外交に関する協定を結ぶことも可能となっていたはずだった。

 時を同じく、米政府は1972年の沖縄の施政権返還の際、日本政府と結んだ密約で、在沖米軍基地の「自由使用」を手にしている。

 米政府は地元の民意にふたをし、島々を自国の国防戦略にどう組み込むかを常に優先してきた。

 そうした米軍基地の都合を優先する米政府を支えるのは、協力者の役割を担う地方政治家たちだ。

 かつて普天間の県外移設を叫んでいた一部の沖縄の政治家たちは、「普天間の危険性の除去のために」と辺野古を推進し、日米両政府に自ら進んで同化した。

 主張を捨てた政治家がとりうる施策とは、服従と負担の継続に他ならないのである。(平安名純代・米国特約記者)