「未来志向の日韓関係」を築く第一歩とすることができるのだろうか。

 安倍晋三首相と韓国の朴槿恵大統領が、オランダのハーグで初めて正式に会談した。オバマ米大統領が仲介して実現したものだ。日本と韓国は、この会談を足掛かりに、2国間の対話を進め、冷え込んだ関係の修復に粘り強く取り組まなければならない。

 首脳会談で3カ国は、北朝鮮の核・ミサイル開発への対応を中心に協議し、連携を強化することで一致した。しかし、「従軍慰安婦」問題や歴史認識には触れず、懸案を先送りした。

 そもそも、日韓の新政権が誕生して以来長期間にわたり、直接対話の場が設定できない「異常事態」に陥ったのは、歴史認識問題をめぐる双方の深い溝が解消されなかったことが要因だ。

 朴大統領は2013年2月の就任以来、日本に歴史認識を転換するよう厳しい姿勢を示してきた。就任直後の演説では、植民地支配の加害者と被害者の立場は「千年の歴史が流れても変わらない」と強い表現で批判した。

 一方日本では、安倍首相が国会で「侵略の定義は定まっていない」と発言。閣僚らの靖国神社参拝などで、韓国側の不信を買った。さらに、昨年末の首相の靖国参拝が、歴史認識問題を理由に首脳会談を拒んでいる朴大統領の姿勢を一層硬化させた。

 今回は米国の意向に日韓双方が応じた形だが、今後両国は米国に頼ることなく、直接対話実現に向けた道筋を模索すべきだ。

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 3カ国の首脳会談は、ぎくしゃくした雰囲気が漂った。

 オバマ大統領を中心に安倍首相、朴大統領が両脇に並んだ会談冒頭。韓国語を交えて笑顔で話しかけた安倍首相に対し、朴大統領は硬い表情のまま、目を合わせることもなかった。韓国国内の反日感情に配慮したものでもあるだろうが、朴大統領自身、厳しい見方を変えていない。

 日米韓首脳会談に先立ち、朴大統領は、中国の習近平国家主席と会談。朝鮮の独立運動家、安重根の記念館が中国ハルビン市に建設されたことに謝意を表し、歴史問題での中国との「対日共闘姿勢」を誇示した。

 また、ドイツ紙とのインタビューでも、安倍政権の姿勢を批判し、日韓の信頼回復には「慰安婦」問題で日本のさらなる「誠意ある措置」が必要だと訴えているのである。

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 日韓の溝はいまだに深いと言わざるを得ない。

 会談直前に首相側近とされる萩生田光一総裁特別補佐が、河野談話の検証に基づく新たな政治談話を検討すべきだと発言した。韓国政府は、フランスで開催された国際漫画祭で「慰安婦」をテーマにした企画展を実施し、米国で韓国系団体などが「慰安婦」被害を象徴する少女像を設置した。

 隣国同士が互いにいつまでも批判を繰り返すだけでは、関係修復の糸口はつかめない。双方が真摯(しんし)な対話による外交を展開し、東アジアの緊張緩和に主導的な役割を果たすべきだ。