教科書無償措置法の改正案が27日、衆院本会議で可決された。各教育委員会に対し「教科書の採択地区協議会」の設置や、協議結果に基づいた同一教科書の使用を義務付ける内容だ。

 八重山採択地区で中学の公民の教科書を一本化できていない問題が、見直しのきっかけになった。

 八重山採択地区では、2011年8月、教科書選びを行う協議会の答申に基づいて、石垣市、与那国町が12年度から育鵬社版を使用することを決めた。一方、協議会の運営に反発する竹富町教委は、地方教育行政法(地教行法)で教科書の採択権限が各教委にある、として東京書籍版を採択した。これに対し文部科学省は、同じ地区内で教科書を統一するよう定めている無償措置法に竹富町が違反していると主張。竹富町教委に対し今月14日、地方自治法に基づく是正要求を出した。

 この際、菅義偉官房長官は無償措置法を根拠に、「法治国家なので一日も早く従ってもらいたい」とし、政治介入には当たらないとの認識を示した。下村博文文部科学相は「法治国家として違法状態を解消するのは当然のことだ」と繰り返し強調している。

 竹富町が法律違反を犯している、と決めつけるような物言いには強い違和感が募る。

 政府に問いたい。ではなぜ無償措置法の法改正が必要と判断したのか。竹富町を「違法」と断じる根拠に乏しい、と認めざるを得なかったからではないか。さらに、今回の改正によっても、地教行法との矛盾は何ら解消されない。

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 民主党政権でも、文科省は県教育委員会を通じ竹富町を指導した。が、町が寄付で調達した教科書を独自に配布している現状は容認していた。

 これについて政府対応の整合性を問われた下村文科相は「(独自の配布は)禁止されていない」としつつ、無償措置法に基づいた教科書を採択していないため「違法状態にあるのは事実」と強調した。

 しかし、政権交代により、政府の対応は明らかに指導強化の方向へシフトした。

 民主党政権時代、中川正春文科相は竹富町の決定について、「(沖縄の)歴史的な経緯、その中にある一人一人の国民の気持ちというのが、その中に反映されているのだろう」と国会で答弁し、一定の理解を示していた。

 民主党の大畠章宏幹事長は今月、竹富町教委への文科省の是正要求に関し、「少し度を超しているのではないか」と批判している。

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 下村文科相は26日の衆院文部科学委員会で、フィンランドなどの教職員組合の活動を挙げ、「教育現場に政治やイデオロギーを入れ込まない」とたたえる一方、日本の組合が教育現場にイデオロギーを持ち込んでいる、との批判をにじませた。

 教育現場に政治やイデオロギーを持ち込み、混乱を招いているのは、地元からみれば明らかに政府のほうだ。

 政権が交代するたび、政治的な思惑で政府対応が変わるのは問題だ。教育への政治の介入を防ぐ制度改革こそ求められている。