15日、那覇市内のホテルで女性警察官有志による退職者激励会があった。約90人の私服姿の後輩女性警官たちの輪の中心で祝福される一人の女性がいた。県警広報相談課次席兼被害者支援室長の島田ちさ子警視(60)。男性中心の警察社会で、地元採用では初の女性警視として活躍。41年5カ月の県警での勤務を終え、31日、第2の人生を歩き出す。(我喜屋あかね)

退職の日を前に島田警視のもとには後輩たちからひっきりなしに電話がかかってくる

 1973年に県警女性警察官1期生として入庁。当時は多くの署で当直室や更衣室など女性専用の施設はなく、戸惑いもあった。でも望んで始めたこと。「女性だから」と言い訳せず、逃げずに男性と同じように働いてきた。「自分を鼓舞していた部分はあったのかも。でも女だからできないとか、かわいいぐゎしーしてたらダメ。皆やっているからやるだけだった」

 忘れられない事件がある。98年に起きた少年グループによる少女暴行事件だ。ポケベルで呼び出された一人の少女が少年らに性的暴行を受けた。事件後、少女は不登校になり、退学に追い込まれた。

 少女を気遣い、連絡を取り合い、送り迎えもした。「彼女のためなら何でもやった。これが被害者支援の先駆けだったかも」。信頼関係が生まれ、わずかな手掛かりを基に一緒に犯行現場を突き止め、容疑者全員の逮捕につなげた。

 事件から数年後、那覇市内で偶然少女と出会った。「復学して高校を卒業し、就職のために専門学校で頑張っています、これから友達とスポーツしに行くんです」。そう話す少女と思わず抱き合った。

 今でも少女が住んでいた家の前を通るたびにその窓を見上げてしまう。「今も住んでいるかは分からないけど。ああ、電気が付いているなあ、どうしているのかなって。これって癖ね」

 2013年、警視に昇任。「あなたは後輩のために道をつくる責任があるんだよ」。そんな先輩の言葉が今も胸に響いている。

 激励会では、知らない後輩もたくさん話し掛けてきた。「少しは目標になれたのかな」。照れくさそうに目を細めながら、「泣いたこともつらいこともいっぱいあった。でも、誰かの力を借りれば乗り越えられる。必ず道は切り開ける」と後輩にエールを送った。