南城市佐敷津波古でペットショップを経営している福増(ふくます)スミ子さん(73)が、8年ほど前から、新開橋近くの用水路にすむカモの成長を見守っている。雌が、わが子がカラスから襲われないよう、ススキの生い茂る場所で隠れて子育てする姿に、「なかなかできることじゃないですよ。本当に幸せ」と、親子の絆に目を細めている。

水路の中州で餌を探すカモの家族=27日、南城市佐敷津波古

優しい目でカモを見る福増スミ子さん

水路の中州で餌を探すカモの家族=27日、南城市佐敷津波古 優しい目でカモを見る福増スミ子さん

 佐敷新開のマングローブ林にいたカモの一種「バリケン」2、3羽が8年ほど前、新開橋を流れる農業用排水路にすみつき、さらに繁殖も始めた。今では、最初にすみついた雄「ボス」から、昨年生まれた8羽きょうだいまで20羽余りが、中州にすんでいるという。

 ひなを襲うカラスが悩みの種で、福増さんはその度に悲しい思いをした。これまで生まれたひなは、半分以上がさらわれた、という。カラスを追い払おうと、いなくなるまで立ち続けたこともある。

 しかし、ある雌が昨年春、中州から川上へ数百メートル離れたススキの生い茂る場所で子育てし、9羽のうち8羽を成長させた。同じ雌が、ことしも同じ場所でひな1羽をしっかり育てている。

 福増さんは「毎日、ひなの成長を見るのが楽しみ」と話す。散歩で訪れた保育園児も「かわいい」と喜ぶなど、地域でも話題だ。

 沖縄こどもの国の大宜見こずえ動物園課長は「バリケンのひなは、黄色の体毛が目立つため、他の動物から狙われやすい。子孫を残すため、知恵をつけて隠れているんだ、と感動した」と話している。