政府は首相官邸で開いた国家戦略特区諮問会議(議長・安倍晋三首相)で、地域を限って規制緩和する国家戦略特区の第1弾として沖縄県など6地域を指定した。

 沖縄は「国際観光拠点」と位置づけられ、観光や研究開発の国際拠点にする方針だ。

 ダイビングや空手など地域資源を活用した観光ビジネス振興や、外国人観光客の入国を容易にするビザ要件の緩和、入管手続きを民間委託し迅速化する。沖縄科学技術大学院大学を中心に国際的なイノベーションの拠点づくりに取り組む-ことが柱である。

 県は2021年度までに観光客1千万人の達成を目標に掲げており、このうち200万人を外国人観光客が占めることを想定している。

 だが、12年度は増加傾向にあるとはいえ32万人にとどまり、目標達成には外国人観光客の増加が鍵を握っている。

 空港や港などのインフラ整備を進めるとともに、ビザ要件の緩和など規制緩和が不可欠である。県は外国人ダイバーを増やすため潜水士試験を外国人ガイドが外国語で受けられるよう求めている。

 国家戦略特区の指定を受けた地域は、ことし5月には、国と自治体、民間事業者との会議を設置し、夏ごろまでに規制緩和策などを策定する。

 諮問会議で沖縄の国家戦略特区は「規制改革の内容の一層の充実を求める」と指摘された。会議を構成する3者が規制緩和に向けて共通認識を持ち、地域の事情にも配慮しながら制度設計に取り組んでいく必要がある。

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 国家戦略特区はアベノミクス「第3の矢」である成長戦略の目玉政策である。

 戦略特区の提案は全国から197件寄せられ、沖縄県は3件を提案していた。

 「世界水準の観光リゾート地形成プロジェクト」「沖縄科学技術大学院大学リーディングイノベーション・プロジェクト」「沖縄統合リゾートの導入」である。

 カジノを含む統合型リゾートは県内の合意形成を前提としている。法制化もなされておらず、議論の必要性があると判断された。大学院大学の外国人研究者を対象にした外国人医師による医療行為も認められなかった。

 沖縄では過去に「特区」と華々しく打ち上げられたにもかかわらず、金融特区や自由貿易地域、特別自由貿易など期待した成果を挙げることができなかったことがすぐに思い起こされる。さまざまな制約が付いたためである。

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 国家戦略特区ワーキンググループによる県のヒアリングで「別に特区でなくても」と指摘する声が上がるなど評価は高いものではなかった。推薦もされなかった。

 指定されたのは「政権の沖縄に対する非常に強い思いが反映された」と諮問会議の有識者議員が明かすように安倍政権の政治的な思惑がある。米軍普天間飛行場の辺野古移設を承認した仲井真弘多知事を後押しする狙いである。

 環境を破壊する基地建設と平和産業の観光は両立するだろうか。日本のフロントランナーと位置づけるのなら移設問題とは切り離すべきだ。