妊娠中の女性タレントがブログで妊婦に対する嫌がらせをつづったのをきっかけに、マタニティーハラスメント(マタハラ)の問題が関心を集めている

 ▼妊婦であることを示すマタニティーマークを身に着けていると危険というような記述があり、暗い気持ちになった。周囲の人が配慮しやすいようにと作られたマークなのに「妊婦が電車なんか乗るなよ」など暴言を吐かれたりするのだという

 ▼妊娠した女性に退職を迫ったり、心無い言葉を浴びせたりするマタハラは想像以上に深刻だ。連合が昨年実施した調査では4人に1人が経験したと回答。別の調査でのセクハラ被害の17%を大きく上回った

 ▼リストラで人が減らされ、職場に余裕がなくなっているのだろうか。同僚に赤ちゃんが生まれるのに素直に「おめでとう」と言えない社会は、どこか病んでいる

 ▼働く女性の割合が30代で落ち込む「M字カーブ」は日本特有の就業形態として定着している。それはいまだに女性の2人に1人が出産を機に退職している現実を映し出す

 ▼日本経済の切り札として女性の活用を成長戦略に位置付ける安倍晋三首相。待機児童の解消も管理職登用ももちろん必要だが、妊娠した女性をいたわるという当たり前のことが社会全体で共有できなければアベノミクスは茶番に終わる。(森田美奈子)