4月1日から消費税率が現行の5%から8%に引き上げられる。1997年以来、17年ぶりの消費増税だ。公共料金を含めモノやサービスの価格が一斉に上がる。

 消費増税だけではない。円安によって値上がりしているガソリンや軽油は、消費税と同時に地球温暖化対策税も増税され、ダブル・パンチを食らう。

 社会保障制度では、国民年金と厚生年金の支給が0・7%減額され、国民年金保険料は月210円増え、1万5250円となる。医療機関の初診料も再診料も上がる。

 どこか変だ。確か政府は増税によって社会保障を充実させると言っていたはずなのに、そうはなっていない。

 消費税は所得の少ない人ほど負担が増える逆進性を持っている。政府は低所得者の負担軽減策として、住民税の非課税世帯に1人1万円の現金を配る。だが、1回きりの支給は焼け石に水。効果はほとんど期待できない。

 そもそも「税と社会保障の一体改革」という消費増税の原点が忘れられてはいないだろうか。

 消費税の増税は、社会保障制度の安定維持と財政健全化を目的にしている。強い拒否反応を示しながらも国民の中に「やむを得ない」との空気が広がったのは、人口減少と高齢化、低成長によって、このままでは社会保障制度が立ち行かなくなると真剣に受け止めたからである。

 だが、社会保障改革も財政健全化も「身を切る改革」も遅々として進まず、社会保障の将来像は示されないままだ。

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 増税前の駆け込み需要の反動で、増税後に消費が急激に落ち込み、景気が悪くなる恐れがある。

 本年度5・5兆円の補正予算を組んだのも、過去最大の95兆8823億円に上る2014年度当初予算を編成したのも、消費増税後の景気を支えるためである。公共事業は大幅に膨らんだ。

 財政健全化という観点から見れば、これは危険な兆しである。1997年の消費増税の時は、景気が悪化し、カンフル剤として財政支出を増やしたため、財政をさらに悪化させてしまった。公共事業を大幅に復活させると、ほとんど必然的に、無駄な事業を削る努力が軽んじられる。

 消費増税がブレーキになって景気が低迷し、全体の税収が伸びなければ、財政健全化計画は実現できない。

 国会議員の定数削減など「身を切る改革」は、増税前の実施に間に合わず、いまだに着地点を見いだせないでいる。怠慢というしかない。

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 昨年末の臨時国会で社会保障改革プログラム法が成立し、高齢者や高所得者に経済力に応じた負担を求めていく方向性が打ち出された。だが、給付抑制と効率化を進めるのは容易なことではない。

 中小・零細企業の正規労働者や、全労働者の約4割を占める非正規労働者は、給与の増額があまり期待できない。それなのに消費増税と社会保障の給付抑制に苦しめられようとしているのである。家計への支援策が必要だ。