宮城教育大学学長だった哲学者の林竹二さんと授業研究で名高い教育学者の斎藤喜博さんが那覇市立久茂地小学校を訪れたのは復帰間もない1975年だった。当時の安里盛市校長の招きで初来県した2人は滞在中、授業や体育・合唱の指導に没頭したという

▼林さんは沖縄の子どもの集中力に驚嘆した。「子供たちの反応には、その質の高さと強さと厚みにおいて本土の子供と格段の違いがある」と絶賛し、そのような子を育む沖縄社会を「誠実」だと評した

▼自身の授業の記録映画が作られる際、林さんは久茂地小での撮影を熱望し、東京から機材を運んでのロケが実現した。おかげで77年当時の校舎や教室の様子を伝える写真と映像が今も残る

▼「人間とは何か」。老哲学者の根源的な問いに対し、子どもたちが目を輝かせ、真剣な表情で考える姿が印象深い

▼生前の安里校長と親交が深かった元教師の西江重勝さんは「教師と子どもの学び合いに光を当て、問い続けた記録。授業は単なる知識の獲得ではない。現在にもつながる重い問い掛けだ」と振り返る

▼全国の教育関係者に名をとどろかせた久茂地小はきょう閉校する。前島小と統合し、那覇小に生まれ変わる。先人の歩みを記憶にとどめつつ、新しい学びやで生まれる教師と子どもの新たな営みに期待したい。(田嶋正雄)