在日米海軍は6日、日本に駐留するすべての海軍兵に対し、基地内外での飲酒を禁じ、勤務時間外の行動についても自宅と勤務先の往復などに制限する服務規律の見直しを発表した。

 嘉手納基地所属の海軍兵が酒酔い運転の容疑で逮捕された事件を受けての緊急対策である。

 「全面飲酒禁止」は異例で、再発防止への決意がにじむ重い判断に見えるが、当面の間、海軍に限った措置である。これまで繰り返された綱紀粛正策に照らせば「ほとぼりが冷めるまで」の弥縫(びほう)策にしか映らない。

 元海兵隊員で軍属の男による女性遺体遺棄事件を受け、在沖米軍は先月27日、軍人・軍属らに対する基地外での飲酒や深夜0時以降の外出禁止策を決めた。6月24日までの約1カ月間を「喪に服する」期間とすることも強調している。

 今月3日、政府の犯罪抑止対策推進チームは、警察官100人の増員や車両100台のパトロール隊などの設置を決めた。

 そして今回。在日米海軍は全兵士に飲酒禁止を指示したのである。

 日米両政府から矢継ぎ早に打ち出される再発防止策は、沖縄の怒りが地位協定の改定にとどまらず、全基地撤去の運動へとつながるのを恐れてのことだろう。

 しかし、これら対策が実効性のある恒久対策になり得ないことは、過去の事例をひもとけばすぐに分かる。  

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 2012年、本島中部で起きた2米兵による女性暴行事件の際、米軍は外出時間や飲酒の規制を盛り込んだ「リバティー制度」を設けた。ところが14年に規制が緩和されると、飲酒運転で逮捕される米兵が相次いだ。

 観光客の女性がホテルで暴行された事件を含め、昨年から今年にかけて那覇市内で頻発した米兵関係の事件は、中北部に比べ憲兵や上官の「監視が緩い」ことが背景にあげられた。

 事件を受け今度は、那覇での宿泊が禁じられた。いたちごっこである。

 海軍兵による酒酔い運転事故も、米軍自らが定めた哀悼期間に起きている。綱紀粛正策は1週間余りで破られた。

 ドーラン在日米軍司令官は、今回の服務規律の見直しに当たり「米軍兵士は国の代表として最も高い水準の規律を維持することが求められている」と話したが、飲酒の全面禁止自体、「良き隣人」政策の破綻というしかない。

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 日米双方から示された三つの再発防止策に県民が冷ややかなのは、いずれ時間がたてば緩和され、事件・事故が再び繰り返されることを経験則として知っているからだ。

 遺体遺棄事件後、共同通信社が実施した全国世論調査で、7割を超える人たちが地位協定の改定を支持している。

 米軍関係者が地位協定によって守られ、優遇され、それが占領者意識を温存させ、再発防止を妨げているのは明らかである。

 両政府の対策には、その最も大事な部分が抜けている。