きょうから消費税率が8%に引き上げられた。それに伴い、暮らしに直結するモノやサービスの価格が一斉に値上がりした。

 県内では路線バスやモノレール、タクシーなど公共交通機関の運賃が上がった。電気やガスも値上げされ、水道料金も一部の自治体を除いて増税分を上乗せする。

 まさに値上げラッシュの春である。消費税が増税される直前まで、各地のスーパーや量販店に日用品などのまとめ買いに走った人々の姿は、増税に対するささやかな防衛策であった。

 4月から社会保障制度でも負担増となる。国民年金と厚生年金の支給減額や国民年金保険料のアップ、医療機関の初診料と再診料が上がり、70~74歳の医療費負担割合も段階的に2割に増える。

 消費税が、社会保障制度の安定維持と危機的な財政の立て直しに向けた重要な財源であることは確かだ。しかし低所得者の割合が多い沖縄社会では、深刻な影響が出ることを懸念せざるを得ない。

 消費税は、収入の少ない世帯ほど負担が重くなる「逆進性」がある。政府は低所得者への支援策として、住民税の非課税世帯への現金給付などを実施する。ただし一回限りの支給で、効果は限定的としか思えない。

 2015年10月に税率10%への引き上げが予定されているが、生活必需品などを対象にした軽減税率導入の結論は出ていない。政府の低所得者対策は、貧弱としか言いようがない。弱者支援の一層の拡充を検討すべきだ。

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 消費増税前の駆け込み需要の反動で、4月以降の消費が冷え込み、景気が減速することが心配される。

 県経済は、観光客の増加や沖縄振興予算の増額で拡大基調にあり、反動減があるとしても一時的との見方もある。

 アベノミクスの効果もあり、14年春闘では大手企業が軒並みベア実施を決めたが、その恩恵は地方には及んでいない。中小零細企業がほとんどを占める沖縄では賃金が上がらず、家計を圧迫しかねない。

 県がまとめた13年の県内世帯の家計調査では「2人以上の世帯のうち勤労者世帯」の実収入は、月平均で全国より13万円余り低い水準だった。収入から税金や社会保険料を差し引いた可処分所得も、全国より9万円余り低かった。

 収入の低い県内世帯は支出を抑え家計防衛に走らざるを得ず、個人消費が落ち込む恐れは否定できない。

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 さらに高齢者の暮らしへの影響が、深刻なものになるのは間違いない。県内は年金制度施行の遅れから国民年金の受給月額は全国平均を2千円下回り、無年金者も3万人いる。65歳以上高齢者のうち生活保護を受給している割合は4・93%で、全国で2番目に多いのだ。

 共同通信が3月に実施した全国電話世論調査では、税率10%への引き上げに約66%が反対だった。政府は、社会保障制度や財政再建の道筋を示していない。増税のみを先行させ、負担増だけを強いるのは許されない。