インターネット上を中心にさまざまな疑問が噴出していた新しい万能細胞「STAP細胞」論文に関し、不正の有無を調べていた理化学研究所の調査委員会は1日、小保方晴子研究ユニットリーダー(30)に画像の捏造(ねつぞう)や改ざんなどの不正行為があったとする最終報告を発表した。

 STAP細胞ができたとされる最も重要な画像が博士論文の別の実験と酷似していることについて、調査委は捏造と結論づけた。データの信頼性を根本から壊すと批判。STAP細胞が体細胞から変化したことを示す画像についても、図をきれいにみせるため切り貼りされ、加工された「改ざん」と認定した。

 これに対し、小保方氏はコメントを出し、調査結果について「驚きと憤りの気持ちでいっぱいです」と反論、「悪意のない間違い」と強調し、近く理研に不服申し立てをすることを明らかにした。

 世紀の大発見ともてはやされてからわずか約2カ月。直後から不正行為を疑わせる事実が次々と指摘された。

 小保方氏は、体調不良で精神的ダメージが大きいといわれるが、回復し次第、自らの言葉で真相を明らかにしてもらいたい。発表以来、当事者による直接の説明がほとんどないことも混乱に拍車をかけている要因であるからだ。

 小保方氏はコメントで「このままでは、あたかもSTAP細胞の発見自体が捏造であると誤解されかねず、到底容認できない」と、STAP細胞の存在を強く主張しているからなおさらである。

    ■    ■

 文部科学省のガイドラインや理研の規程によると、研究者の不正行為には、存在しないデータを作成する「捏造」、得られた結果を真正でないものに加工する「改ざん」、他の研究者のアイデアなどを適切な引用表記をせずに使用する「盗用」がある。小保方氏は科学者として失格の烙印(らくいん)を押されたのに等しい。

 ネイチャー誌に掲載された2本の論文には計14人、問題の論文には8人の共著者が名前を連ねる。日本を代表する研究者もいるが、調査委は深く関わった2人のシニア研究者について「データの正当性と正確性を自ら確認しておらず、その責任は重大である」との指摘にとどめている。

 論文全体の構成を整えたシニア研究者もおり、甘いのではないか。理研も人ごとのように批判するだけでなく、研究内容を掌握した上で発表に踏み切ったのだろうか。

    ■    ■

 全体を把握する研究者がおらず、パートパートを担当するだけの共同研究のあり方こそ問題にすべきだ。

 身分が不安定な若手研究者が早期に成果を出さなければならない厳しい環境に置かれていることや、世界最高水準の研究開発を担うために創設される「特定国立研究開発法人」(仮称)の指定を有利にするため大々的なPR戦略をとったとの見方も出ており、複合的な問題がからんでいる。

 日本の科学研究が信頼を取り戻すことができるのか。再現実験を急ぎ、問題のありかを明らかにするとともに、再発防止策を構築することができるかにかかっている。