食いしん坊と好奇心から、見たことのない一品には食指が動く。在来の農水産物などを使ったシンプルな料理がうまいと感慨もひとしお、忘れられない

▼22年前に石垣島出身の知人のお宅で、初めてオオタニワタリの炒め物をいただいたとき、居酒屋で緑鮮やかなアーサのお焼きをほおばった瞬間、磯の香りが口の中に広がったときだ。足元の再発見は喜びを伴う

▼知らない島野菜のニュースにも心が躍る。本部町健堅で、一時生産が絶えたキンキン(健堅)ゴーヤーを特産品にしようと戻し交配などで復活させ、区の農場に苗を植え付けた。実は約50センチに育つというから収穫が楽しみだ

▼本部町は、在来のネギでも「もとぶ香ネギ」と名付けて商標登録し、本格栽培を始めている。県内在来では、唯一の通年栽培で年6~8回も収穫できるというからたくましい。沖縄そばどころの地場産薬味としても重宝するだろう

▼在来の伝統的な野菜は暑さや病害虫に強い利点があるとされる半面、規格が大きくて流通に乗らなかったり、苦みや香りなど個性が強いことから市場では避けられたりした

▼直売所や産直品が人気の昨今、かつての弱点は強みにも変えられそうだ。甘みが増す一方に品種改良された野菜たちの中で、在来はひときわ存在感を放つ。大人の舌は一筋縄ではいかない。(与那嶺一枝)