壺屋焼の雑器に、「用の美」を見いだしたのは陶芸家の濱田庄司さんらの民藝運動の人々である。地元では当たり前と思っていても、外の目からは輝きを放つ宝物に見えることがある

▼那覇市牧志の八軒通り商店街で雑貨店を営む浜田与吉さん(39)は「日本一短い商店街」に着目し、商店主らと発信を始めた。新名所として本紙3日付で紹介された。商店街の代表、新垣悦子さん(80)は「訪ねてくる人が増えた」と喜んでいた

▼徳島市出身の浜田さんは10年余り前に沖縄に移住。雑貨店を構え、手作りアクセサリーなどを制作、販売した。「沖縄は光の文化」と気付き、作風は変わり、地元の客に受け入れられていった。80代の女性が指輪を買うこともある

▼周辺では、若い人の出店が増えた。みずみずしい感性を生かした街づくりの広がりに期待できる。だが、一度失った人通りを取り戻すのは簡単ではない。浜田さんも「これからがスタートだ」と話す

▼『商店街はなぜ滅びるのか』の著者、新雅史さんは東日本大震災で壊滅的な被害を受けた宮城県石巻市の商店街がボランティアと交流し、意見を取り入れながら復興につなげた例を紹介している

▼商店街を守り続けてきた人々をないがしろにはできない。新しい息吹も出始めている。街には「若者」と「よそ者」が欠かせない。(与那原良彦)