沖縄の新聞を、自腹で本土に届ける人たちがいる。宛先は図書館や記者、市民団体。基地問題に代表される本土と沖縄の「温度差」を埋めるため、まずは沖縄の実情を知らせたいと願っている。(阿部岳、新里健)

刷り上がったばかりの新聞が本土発送用に次々と包装されていく=1日未明、浦添市・沖縄タイムスUPセンター

 広島県の福山市中央図書館では今年2月から、沖縄タイムスが読めるようになった。地元に住む元新聞記者の鬼原(きはら)悟さん(60)が購読料を負担している。当初は自宅に送らせていたが、「もっと多くの人に読んでほしい」と宛先を変え、自らも図書館に通って読む。

 1月までの1年余り、沖縄で暮らした。「ヤマトンチュがいかに差別の実態を知らないか、痛感した。私たちには知る責任があり、本来は各地の図書館が自費で購読すべきだ」と考えている。

 関西沖縄文庫(大阪市)を主宰する県系2世の金城馨さん(60)は昨年12月から沖縄タイムスの基地報道をコピーし、元教員や平和団体メンバーら25人に手渡したり郵送したりしている。目的は「ヤマトンチュに『沖縄のことを知らない』という言い訳をさせないため」。

 コピー代は月4万円かかるが、「沖縄に押し付けられている基地を、ヤマトに引き取らせる機運を高めるために必要な経費」と話す。

 沖縄市出身で広島修道大学教授の野村浩也さん(50)=広島市=は琉球新報4部と沖縄タイムス3部を自己負担で購読契約し、全国紙やNHKなど本土の記者7人へ郵送させている。

 「沖縄の基地負担を過重にしている原因の一つは本土メディア。日米安保の現場が沖縄にあることを伝えたい」と語る。「多くのウチナーンチュが同じ『贈紙』に取り組めば、立派な社会運動になり、沖縄の状況はきっと良くなる」と期待している。