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  • 沖縄県議選で開票100%後に当落が入れ替わる前代未聞のトラブル
  • 名簿の修正し忘れが原因だが、ダブルチェックの仕組みもなかった
  • 県選管は陳謝しつつも「当選者を確定したわけではない」と弁解

 「開票率100%」として公表された得票が修正され、当選者が入れ替わる“前代未聞”の事態となった5日の沖縄県議選国頭郡区の開票。6日未明に急きょ、記者会見した県選挙管理委員会の当山尚幸委員長は、陳謝しつつも「当選者を確定した訳ではない」と弁解じみた言葉を並べた。人生を懸けて挑んだ立候補者、選管を信頼して1票を投じた支持者。翻弄(ほんろう)された人々の心に、その言葉はどう響いたのか-。

国頭郡区の開票ミスを巡る動き

開票ミスのイメージ

国頭郡区の開票ミスを巡る動き 開票ミスのイメージ

 通常なら、当落の判明を終えているはずの6日午前1時すぎ。県選管の「得票を再集計する」との一報を受けて、県庁には報道陣が殺到。県選管は入り口の扉の鍵を閉めて、確認作業を急いだ。

 同1時40分すぎ、再集計を終えた職員2人が廊下で修正した得票数を配り、経緯を説明。だが、トラブルの責任に話題が及ぶと「発言できる立場にない」と答えるだけ。記者団から責任者の説明を要求され、同2時40分にようやく当山委員長の会見が設定された。

 約30人がすし詰め状態の会議室。「県選管の開票速報で、当選だと思っていた人が仮にいたとすれば、修正してしまって申し訳ない」。当山委員長は釈明しつつ、当選者を告示する9日が「県選管による当選者の確定。9日までは修正の可能性もある」との説明を繰り返した。候補者へ謝罪する考えがあるかを記者3人が続けて確認したが、「当選が確定していない中で、候補者に間違いでしたとは言えない」とかわした。

 ミスの原因となった、候補者届け出順に修正する前の名簿の並びについて、当山委員長は「あいうえお順」と話したが、6日午後の本紙取材に選管職員は「立候補表明順もある」と説明。二転三転した開票を象徴するかのように覆った。

■複数確認の仕組みなし 入力・集計ミス見逃す

 県議選開票ミスは、担当者が立候補者名簿を届け出順に並び替え忘れるという人的ミスが一番の原因だった。名簿修正を1人の担当者が担い、ダブルチェックする仕組みがなかったほか、得票数の入力係による集計後の確認作業もなく、間違いに気づくのが遅れた。

 集計は表計算ソフト「エクセル」の共有ファイルを使用。入力係16人がそれぞれ担当する市町村の票数を入力すると、集計係のファイルに自動的に反映され、候補者の総得票が合算される。立候補者名簿は、告示後に候補者の並びを「届け出順」に修正するが、今回、1人の入力係が担当した伊江村、伊是名村、北中城村のファイル一つが修正されていなかった。国頭郡区では、現職は五十音順、新人は出馬表明順に並んだ修正前のファイルが使われ、候補者3人の票が正しく合算されなかった。

 投開票日前日の4日には同ファイルを使ってリハーサルしたが、ミスに気づけなかった。選管職員は「設定段階でミスがあった。見抜けなかった落ち度がある。参院選も控え、同時並行の作業が追われていたことも要因の一つ」とした。

■有権者の1票丁寧に扱って 落選の吉田さん苦言

 【金武】二転三転した県選管の発表に振り回された末に落選した国頭郡区の現職、吉田勝廣さん(71)は6日、金武町内の選対事務所で取材に応じ「有権者は期待や未来を託し、一票を投じている。県選管は機械的に作業するべきではない」と苦言。今回の失敗を教訓にしてほしいと話した。

 5日夜~6日未明にかけて「落選」「当選確実」「落選」と伝えられた吉田さん。「くやしいが、政治は結果」と受け止め、「僕より支持者の方がやりきれない」と気遣った。落選を知らない孫から「おめでとうと言われたのがきつかった」と声を落とした。

 6日は名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前に足を運び、市民らの握手攻めに。「辺野古に新しい基地は造らせない。ともに頑張ろう」と力を込めた。

■県選管発表 修正相次ぐ

 今回の県議選では国頭郡選挙区のミス以外にも選挙データの修正が相次いだ。県選挙管理委員会は5月29日、期日前投票所について本部町の「本部町立博物館町民ギャラリー」を「本部町役場町民ホール」に訂正。5日には多良間村で6人の集計漏れがあったとして、期日前投票者数を15万250人から15万256人に修正した。

 6日未明には中頭郡区の得票数を訂正。修正前は4位だった候補者が3位に繰り上がった。得票速報も同日、一部修正。宮古島市の選挙当日有権者数を4万2674人から4万2677人に、宜野座村の投票者数も2924人から2925人に訂正。県選管は宮古島市、宜野座村からの報告ミスだったとしている。

■糸満で開票ミス 139票が一時不明

 【糸満】5日投開票の県議選糸満市区で、候補者別に票を分けて入れるかごに139票を置いたまま片付け、一時所在不明となるミスがあった。同市選挙管理委員会が「持ち帰り票にしては多い」と、全ての票を計数機で2度計算。その後、会場から車に積み込んだかごを調べ、票を見つけた。

<おわび>

 県議選の沖縄タイムスのウェブ速報に一部誤りがありました。おわびします。