みんなの党の渡辺喜美代表が、化粧品会社ディーエイチシー(DHC)の吉田嘉明会長から計8億円を借り入れた問題で7日、責任を取って代表を辞任すると表明した。

 記者会見した渡辺氏は「法的にはまったく問題はないが、多くの方に迷惑をかけたのは事実。党首として反省する」などと辞任の理由を説明した。さらに「一連の報道によって、世間や党の支持者から誤解を受けかねないこととなった」とも述べた。

 これでは、世間を騒がせ、関係者に迷惑をかけたことに対して責任を取ると開き直っているのに等しい。

 「個人的な借り入れ」で、「法的な問題はない」との主張を繰り返す渡辺氏は、政治資金規正法や公選法に抵触する可能性が指摘されていることを棚に上げ、代表辞任で沈静化を図ろうとしているとしか受け取れない。

 渡辺氏は会見で、借入金の使途について「主に党への選挙関係費用や政策決定、党勢拡大に資する情報収集などに支出した」と説明。さらに「政治家がポケットマネーを使って政治活動をしている場合、その収支については収支報告書の制度がないことを確認している」と、違法性を否定した。

 渡辺氏は法律上の問題はないと再三繰り返したが、どれだけの国民がその説明に納得するだろうか。3億円を2010年の参院選前、5億円を12年の衆院選前に借り入れており、選挙資金に充てられたと見るのが自然だ。これでは「政治とカネ」をめぐる不信は、深まるばかりである。

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 DHCの吉田会長は、当初から「選挙資金だったと、はっきりしている」と反論していた。12年衆院選の前に吉田会長が5億円を貸した後、渡辺氏から「供託金の支払いを終えた」とメールが届いていたとも語っている。渡辺氏は、メールについて「記録を残してないので確認できない」とするが、こんなあいまいな説明はとても通らない。

 渡辺氏は3月27日の会見以来、体調不良を理由に議員会合や定例会見も欠席していた。雲隠れともいえるこの間の責任逃れは、公党の代表とは、とてもいえない。

 みんなの党は結党時から渡辺氏の強い個性で党を全面的にリードする「個人商店」といわれてきた。だが、説明責任を果たさない渡辺氏の姿勢に対する批判が党内から湧き起こったのは当然だ。江口克彦最高顧問に続き、衆参議員2人が記者会見し、代表辞任を求めていた。

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 渡辺氏の8億円借り入れ問題は、政治とカネの問題が日本政治の宿痾(しゅくあ)であることを示した。猪瀬直樹前東京都知事が医療法人「徳洲会」から5千万円を受け取り、公選法違反で略式起訴され、罰金50万円の略式命令を受けたばかりである。

 渡辺氏は記者会見で未返済の5億5千万円に金利を上乗せして返済したという。渡辺氏は国民の税金によって賄われている政党交付金を年20億円も受け取る公党の代表であることを忘れてはならない。代表辞任で幕引きとはならない。