「イラナン、シーグン、ムッチョンドー、ナーチュルワラベー、ミミグスグス…」。鎌(イラナ)や小刀(シーグ)を手に、泣く子の耳を切る「ミミチリボウジ(耳切坊主)」の子守歌。「耳グスグス」のリアルな描写が怖かった

 ▼お化けが来るよ、早く寝なさい-。しつけに「脅し」を使う風習は今昔ある。やりたくないが、聞きわけが悪くて思わず…という親も多いはず

 ▼以前、取材した名桜大教授によると、人を意のままに動かすには「恐怖アピール」が最も有効だそうだ。「○○しないと、○○だぞ」。心身に対する脅威から身を守る「生存本能」に訴えるのだから、おだてや懐柔より強烈だ

 ▼成人し坊主への恐怖は消えたが、新たに「病気」という身近な脅威が現れた。県民の多くが体重や血圧、血糖値に一喜一憂、本紙「週刊がんじゅ~ま~る」の川柳にも、悲哀のにじんだ作品が並ぶ

 ▼日本人間ドック学会などは先日、血圧やコレステロール値、肥満度(BMI)などの基準値を緩和した(本紙5日付)。安堵(あんど)する一方で、従来の基準は何だったのかと疑問も湧く

 ▼恐怖心をたてに行動を操られるのはしゃくだが、医者の渋い表情が怖くて受診に二の足を踏んでいる人の勇気も出そうだ。慢心には注意しつつ、不安を緩めるのも一つの健康法ではないだろうか。(儀間多美子)