「非常に困惑している。誰が責任を取るのか」―。石垣市長選が告示された2月23日午後。那覇市内で急きょ記者会見した自民県連の照屋守之幹事長は、怒りをあらわにした。

 この日、琉球新報は陸上自衛隊の配備候補地として石垣島の2カ所を挙げ、防衛省が最終調整に入ったと報じた。

 「なぜわざわざ告示日にぶつけてくるのか。意図があるとしか思えない」。照屋氏は抗議の意思を繰り返し強調した。

 報道と選挙を絡めて問題視するのは、記事が市民の反発を招き、政府・与党の支援を受ける現職に不利に働きかねないとの危機感があるからだ。

■怒りと失望

 衝撃を受けた県連幹部は対応に奔走した。照屋氏は小野寺五典防衛相、西正典防衛事務次官に直接電話をかけ、事実確認に追われた。石垣入りしていた翁長政俊前会長も、防衛庁長官経験者で自民党副幹事長の中谷元氏に電話し、防衛省への事実確認を依頼した。

 「防衛相はいま岐阜ですが、記者団に報道を否定するコメントをします」「菅義偉官房長官も、あすの記者会見で報道は事実でないと明言します」

 政府・党本部から県連に続々と対応策が伝わり、照屋氏ら幹部は「事実と異なる報道だ」と言い切った。

 ただ、本紙も防衛省関係者への取材で、石垣島で別の候補地を含めた検討をしている事実を把握し、24日付朝刊に掲載した。

 「記者会見した意味が、あんた方には全然、伝わっていない」。本紙を読んだ照屋氏は、失望感から語気を強めた。

■不買運動も

 県連が沖縄2紙の報道に猛反発したのには、伏線がある。昨年12月に県連は、米軍普天間飛行場の辺野古移設を容認した。両紙は「公約違反だ」「辞職して信を問え」と連日、紙面で批判を展開した。

 「沖縄の新聞は公平性に欠け、一方的過ぎる」。所属議員の胸中には選挙前から2紙への不信感が渦巻いていた。幹部の1人は本紙記者に「不買運動を考えている」と警告した。

 照屋氏は県議会の2月定例会で「私は県内2紙を100%信じてきたが、報道に関して県民から公正、公平な観点から私に苦情が寄せられている」と苦言を呈した。

 ただ、県連が政策を「県外移設」から「あらゆる選択肢を排除しない」に変更し、辺野古容認に転じたのは事実だ。県連執行部は「県外を捨てたわけではなく、優先順位を変えた」と説明したが、西銘恒三郎会長(衆院議員)は3月29日の県連大会で「私自身は、県外移設を求める人と議論する必要はないと思っている」と明言した。

 県外の選択肢を排除し、辺野古移設の推進を明確にしたと受け取れる発言で、従来の説明との矛盾は否めない。(政経部・吉田央)