日米の防衛担当者の間で昨年来、「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)の見直し作業が進んでいる。一般の関心が薄く、国会でもあまり議論されていないが、日米防衛協力の歴史的な転換点になるかもしれない。

 小野寺五典防衛相と米国のヘーゲル国防長官は6日、防衛省で会談し、日米ガイドラインの年内改定に向け作業を加速させる方針を確認した。 日米ガイドラインは、冷戦下の1978年11月に初めて策定され、核開発をめぐる朝鮮半島危機が表面化したあとの97年9月に改定された。

 今回の再改定は17年ぶりとなる。

 日本有事の際、日米がどのような防衛協力を進めるべきか。その枠組みを定めたのが78年のガイドラインである。97年のガイドラインは、日本領域外の周辺有事を想定したものだった。99年5月には、改定ガイドラインに基づいて周辺事態法などの関連法が制定されている。

 大ざっぱに言えば、78年ガイドラインは、自衛隊と米軍を「盾と矛」の関係とみなし、97年ガイドラインでは、周辺有事の際、日米が「前方と後方」の役割を分担することが確認された。2014年ガイドラインは、どのような中身になるのだろうか。「前方と後方」の役割分担が薄まるかもしれない。

 「前方と後方」の関係がなくなるということは、日米が米英関係のように「共に戦う関係」になることである。安倍政権の下で、その法整備が急テンポで進んでいる、とみるべきだろう。

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 14年ガイドライン策定に向けた日米協議の焦点は尖閣問題の扱いである。米国はかねがね、「尖閣諸島は安保条約5条の適用対象」と指摘してきた。だが、武装集団などが大量上陸し、日本の実効支配が失われれば、武力攻撃への対処を想定した5条は発動されない可能性がある。

 米軍を引き留めたい日本と、領有権をめぐる紛争に巻き込まれたくない米国。力による現状変更には共通に反対していても、利害が一致しているとはいえない。

 昨年10月の日米安全保障協議委員会で日米の外務・防衛担当相は「より大きな責任の共有」を確認した。米国を引き留めるため、安倍政権は集団的自衛権の行使容認など、踏み込んだ役割を担う可能性が高い。

 ガイドライン再改定によって、沖縄の離島防衛は自衛隊の任務であることが再確認されるはずだ。と同時に、県内米軍施設の共同使用が進み、共同訓練が増えるのは確実である。沖縄にとっても大きな転換点となる。

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 この時期に日米がガイドライン見直しに着手したのは、中国の海洋進出と北朝鮮の核・ミサイル開発という新たな事態に対処するためである。

 中国や北朝鮮の脅威を強調すればするほど、政治家も国民も「異見」「反論」が言いにくくなる。

 重大な政策転換が進んでいるというのに、国会にはそれに見合った緊張感が漂っていない。それこそが本当の危機なのではないか。