「STAP細胞」の論文に不正があったと認定された問題で、理化学研究所の小保方晴子研究ユニットリーダーが9日、記者会見した。

 小保方氏が、公の場で発言するのは1月末に研究成果を発表して以来だ。会見は理研の調査委員会が、論文不正を認定したことに対する小保方氏の不服申し立ての説明が直接の目的だった。

 研究員と所属機関の対立の構図が鮮明になってきた論文問題は、日本の科学研究の信頼を損ないかねない。科学的根拠に基づいた納得ゆく解決を望みたい。

 理研の調査委は1日の最終報告で、2項目の研究不正を認定した。細胞の万能性を示す画像が、小保方氏の博士論文の画像と酷似していることを「捏造(ねつぞう)」とし、遺伝子解析の画像を切り貼りしたことを「改ざん」と認定した。

 小保方氏側は、改ざんとされた画像については「見やすくするために行ったもので、結果に影響は与えない」。捏造とされた画像の流用は「画像を取り違えた」と説明。それぞれ「本来掲載すべき画像や真正なデータが存在する」として、理研が定義する改ざんや捏造には当たらないと反論した。

 また、理研の研究不正の定義が「悪意のない間違いは含まない」としていることから、論文の不備が「不正ではなく悪意のない間違い」とし、結論の撤回も求めている。小保方氏は「事実関係をよく理解されないまま不正と判定された」と述べ、聞き取りや反論の機会が不十分だったと調査のあり方も批判した。

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 理研は、不服申立書を受理。同じ調査委が審査し、再調査の場合は、おおむね50日以内に結論を出す。小保方氏側は、再調査に当たっては理研の研究者を排除することを求めている。同じ調査委が再調査すると“トカゲのしっぽ切り”など、さまざまな臆測が生じるとの理由からだ。その主張には一定の説得力がある。

 小保方氏は会見で「私の不注意、不勉強、未熟さ故に多くの疑念を生み、多くの皆さまにご迷惑をかけた」と謝罪し、論文の不備を認める一方で、「STAP現象は何度も確認された真実だ」と自信を示した。

 小保方氏は、STAP細胞作製の最適条件を示す論文の準備にも取りかかろうとしていたという。会見ではSTAP細胞が実在し、「200回以上作製した」と、話したが具体的な根拠を示すことはなかった。

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 理研では、今後1年をかけてSTAP細胞の存在の有無を検証する実験を行い、4カ月をめどに中間報告を出す予定だ。だが小保方氏は検証チームに加えない。作製には独特のこつもあるといわれ、再現実験のあり方としては十分だろうか。

 比較的簡単な方法で作製できるとされたSTAP細胞は、難病に苦しむ人々に、再生医療への応用を期待させた。小保方氏は「この先研究者としての道があるなら研究を進め、希望をもってくれている方への思いに応えたい」とも述べている。すべては再現実験如何(いかん)にかかっている。