「県民に反基地、反安保の感情がすり込まれる」―。読売新聞は昨年12月、「日米同盟と沖縄」と題した連載企画で沖縄2紙を取り上げ、元防衛相のこんな指摘を掲載した。

 在沖米海兵隊幹部の「地元紙が米軍の良いことを書くことはない」との見解も紹介。県内の大学教授の「沖縄では権力側にくみしていると見られると誰も読まなくなる」との見方を示しつつも、2紙の基地問題の報道を「先鋭的」と批判的に報じた。

 読売は、仲井真弘多知事が埋め立て承認した翌日の社説で「日米同盟強化へ重要な前進だ」と評価したように、辺野古移設が必要との立場を取る。

 同様の主張が明確な産経新聞は、より辛らつだ。2012年4月には「沖縄での世論構成の過程を見る際、目を覆いたくなるのは地元メディアの報道ぶりだ。恣意(しい)的な世論操作という印象すら持つ」との記事を掲載した。

 沖縄2紙に対する本土メディアの冷たい見方が、じわりと広がっている。

■「蒸し返すな」

 沖縄タイムスと記者を出向しあうなど、協力関係にある朝日新聞はどうか。

 朝日の2月11日紙面に、文芸評論家の斎藤美奈子氏が「『沖縄の怒り』弱い東京紙面 地方の熱気を伝えてほしい」という論考を寄せた。

 普天間返還問題の報道で、九州・山口・沖縄向けの「西部本社版」と「東京本社版」との間に、温度差があるという指摘だ。

 朝日記者の一人は「社内でも『沖縄関連の報道はステレオタイプで食傷感がある』と指摘される。辺野古移設に反対する人も賛成する人も含め、沖縄のありのままの姿をどう伝え、読んでもらうか。視点や切り口を絶えず工夫している」と試行錯誤の内実を語る。

 別の全国紙記者は「仲井真弘多知事の埋め立て承認で、社内では『普天間問題は決着済み。わざわざ蒸し返す必要はない』との空気が支配的。辺野古移設はおかしいと言える状況ではない」と明かす。

■権力と一体化

 毎日新聞の第三者委員を務めたことがある、上智大の田島泰彦教授(メディア法)は「温度差は本土の中にもある。東京に近づけば近づくほど、沖縄に犠牲を強いて安保の恩恵を享受していることに無自覚になっていく」と実感を込める。

 安倍晋三首相は、メディアを選別して個別に取材を受ける手法を好み、大手マスコミの上層部と会食を繰り返している。

 「その結果、改憲や普天間移設の推進など政権の意向を先取りする報道がどんどん出て、政権にとって都合がいい。第2次安倍政権の最大の成果ではないか」。田島氏は地方と大手メディアの分断、そして政権による報道の操縦と、権力との一体化が進む現状を危ぐしている。(政経部・吉田央)=おわり