米軍普天間飛行場返還問題をめぐり、県内の675人が仲井真弘多知事の埋め立て承認の取り消しを求めている辺野古埋め立て承認取消訴訟で、県は9日付で答弁書などを那覇地裁に提出した。住民側の訴えを退けるよう主張し、工事の中断を求める執行停止の申し立てには、意見書で却下を求めている。第1回口頭弁論は16日。

 県の10日の発表によると、県は訴訟と申し立てについて、知事の埋め立て承認は取消訴訟の対象となる行政処分には当たらず、原告らには今回の承認の取り消しを求める訴訟を起こせる資格(原告適格)がないと主張。埋め立て申請は、公有水面埋立法などにのっとり承認したもので、住民側の主張に理由はないとした。

 県は答弁書や意見書の中で「知事の判断は何ら不合理ではない」と反論。日米両政府が、辺野古移設は普天間飛行場の固定化を避ける「唯一の解決策」としていることから、承認の執行を停止すれば「普天間の固定化につながる」と懸念を示している。

県の主張

■国の判断

 普天間飛行場周辺の航空機騒音や墜落事故などの問題に対処するため、辺野古沿岸域を埋め立て、代替施設を設置する。面積は普天間飛行場の半分以下で滑走路も約1800メートルにすぎないことなどから土地利用の適正化、合理化が図られていると言える。

 普天間飛行場の返還合意から18年が経過し、周辺住民は騒音などにさらされ続けてきた。早期解決が喫緊の課題で、国は代替施設の設置以外に方法はないと判断している。

 公益上の必要性が極めて高いとした国の判断に、県は合理性を否定することはできない。

■ジュゴン

 沖縄防衛局は埋め立て工事の際、ジュゴンの生息環境や行動に及ぼす影響を回避、低減するため、ジュゴン確認区域内の作業船の航行を避けることや、衝突を回避するための見張りをつけるなど、措置を講じている。またジュゴンの位置を確認する監視・警戒システムの構築を予定している。

 餌である海藻類の移植や生息基盤改善のほか、事後調査で生息状況や藻場の利用状況の変化を確認し、専門家の指導、助言を得て必要な措置を講じる。

 埋め立て工事施工前後でジュゴンへの配慮が十分になされているというべきである。

■災害防止への影響

 県は水面が陸域化することによる反射波などで埋め立て地以外の護岸が損傷する恐れがないよう、災害防止に十分配慮した対策がとられているかなど3項目を審査した結果、基準に適合していると判断した。そもそも申立人の主張する最大クラスの津波の発生を見込んだ災害リスクは審査対象ではない。

 作業ヤードの設置で辺野古川の河口が狭まるという申立人の主張について、防衛局は「辺野古地先水面に作業ヤードを設置することで辺野古側への影響は軽微である」と回答。申立人の主張は理由がない。

■公共の福祉影響

 埋め立て承認は普天間飛行場代替施設の建設が目的で、国は公共性、公益性が高いと判断した。同飛行場は市街地の中心に位置し、一日も早い危険性除去が必要である。県は県外移設を含むあらゆるオプションの検討を求めてきたが、日米両政府は辺野古移設を唯一の解決策としており、事業の停止は固定化につながると懸念される。

 承認の効力停止で著しく損なわれるおそれのある公共の利益は、申立人が本件承認で受けるであろう不利益を大きく上回る。公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがある。

■航空機騒音など

 承認するかどうかの審査基準である「環境保全や災害防止に十分配慮しているか」は、埋め立て事業そのものを対象とした項目だ。埋め立て後の用途(代替施設をどう使うか)は審査の対象ではない。

 つまり、申立人が主張する代替施設へのオスプレイ配備で生じる「飛行の安全性」や「航空機騒音」の問題は、審査で考慮されるべきものではない。

 なお審査の対象外ではあるが、県は承認する際の留意事項で、代替施設の運用後も環境保全に万全を期すことを求めている。

■サンゴ・ウミガメ

 サンゴ移植は技術が確立されたとは言い難い面があるものの、現地の調査結果を踏まえ、専門家の助言、指導を得ながら、適切な場所に移植し、その後の状況を確認、必要な措置を講じるとしている。

 ウミガメは、代替施設の存在で生息域の消失が予想される。防衛局は専門家の助言を得て、ウミガメの上陸・産卵に良好な環境を整え、利用しやすい場を創出する環境保全措置を検討している。

 サンゴやウミガメへの影響について、具体的な環境保全措置が講じられ、配慮が十分になされているというべきである。