在日米海兵隊トップのウィスラー司令官が、ワシントン市内で講演し、仲井真弘多知事が求めている米軍普天間飛行場の5年以内の運用停止について「新しい施設ができるまで動くことはできない」と否定した。

 MV22オスプレイの県外配備についても「固定翼機を対象とする岩国基地への移駐は難しい」と述べ、移すには代替施設の完成を待つ必要があるとの見解を示した。

 「普天間飛行場の5年以内の運用停止」や「オスプレイの12機程度の県外配備」は、昨年12月17日の沖縄政策協議会で、知事が政府に要請した基地負担軽減策の柱である。

 要請は埋め立て承認の事実上の条件とも受け取られているが、安倍晋三首相は同25日の知事との会談の席上、5年以内の運用停止に具体的に言及しなかった。負担軽減策に関し、知事は「首相の言葉が最高の担保」とし、確約を取れているとの認識だが、果たしてそうだろうか。

 知事は、政策協直前まで、「県外移設」を堅持する姿勢を見せていた。それが政策協では県外移設の文言もない要請書を提示し、口頭での県外移設要請もなかった。

 首相との会談では概算要求を上回る沖縄振興予算などの提示に「驚くべき立派な内容」と述べ、手のひらを返すように承認に転じた。

 それまで主張していた県外移設を自らおとしめるような態度に転じた知事の言うことを、どれほどの人が真剣に受け止めるだろうか。知事は、5年以内の運用停止を政府に取り組ませることで県外移設の公約は堅持されていると主張しているが、明らかに矛盾している。

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 まして埋め立てを承認した後だ。日米両政府が、米軍基地の運用について本気で交渉するとは思えない。むしろ知事は、それを見越した上での「承認ありき」の判断だったのではないかと疑う。

 政府は普天間の運用停止を協議する推進会議を2月に発足させた。首相は初会合で「できることはすべて行う」と述べたが、裏を返せば「できないこともある」と言っているに等しい。

 5日に来日したヘーゲル米国防長官に対し、首相や小野寺五典防衛相は会談で、普天間の5年以内の運用停止について言及したというが、「伝えた」というアリバイづくりにすぎない。

 小野寺防衛相は8日の衆院安全保障委員会で、実現に向けた日本政府の要望ではなく、県の要望として伝えたにとどめた-と述べている。知事の言う「担保」の実態が、限りなく実効性に乏しいものだと証明されているようなものだ。

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 普天間の5年以内の運用停止については、米太平洋軍のロックリア司令官も上院軍事委員会の公聴会で、代替施設が完成するまで、飛行場の機能を維持し、使用を継続する意向を明言している。

 これでは、負担軽減なき埋め立て承認となる可能性がある。普天間の県内移設に反対する県民の多数意思を裏切り、埋め立てを承認した知事の責任は極めて重い。