県が一括交付金を使い、市町村を通じて民間の一戸建てや共同住宅の耐震診断や改修の費用を補助する事業の実績が、事業開始の2012年度と13年度の2年間でわずか4棟にとどまっている。建築主が補助を受けるには市町村が「耐震改修促進計画」を策定することが前提だが、12日時点で全体の6割に当たる25市町村が未策定と行政の取り組みが遅れており、自治体によっては補助が受けられない状況が続いている。(我那覇宗貴)

 同事業は、民間住宅の耐震化率を08年の81・9%(全国79%)から、15年度末までに90%へ引き上げることが狙い。

 対象は、震度6で倒壊する可能性がある1981年5月31日以前に建築確認を取った鉄筋コンクリート造りの一戸建て住宅や共同住宅。診断費の3分の2のうち、国が3分の1、県と市町村がそれぞれ6分の1を補助。最大で一戸建て住宅が60万円、共同住宅は200万円が補助される。

 那覇市の男性(66)は、築35年の一戸建てを診断してもらった。普段から手入れしていて劣化が少なかったこともあり、結果は「耐震性あり」。診断費82万円のうち補助金は54万円で、残りの28万円を自己負担した。「自宅の耐久性を知りたくて頼んだ。耐震性もあることが分かって、ほっとしている」と話した。

 しかし、診断を受ける人は少ないのが現状。事業の広報を受託し、一般からの相談に応える県建築設計サポートセンター(浦添市)は市町村の広報誌などで周知を図ったが、相談は20~30件ほど。中本清理事長は「周知の余地はあるが、鉄筋コンクリート造りの診断費は木造に比べて高い。そのことが、市民に二の足を踏ませているのでは」と複雑な思いを抱く。

 13年度は那覇、浦添、宜野湾、沖縄、うるま、読谷、八重瀬の7市町村で募集。診断費の補助金は一戸建てで計55棟分あったが、実施は那覇市の3棟(一戸建て1棟、共同住宅2棟20戸)。事業開始の12年度も那覇市の共同住宅1棟(12戸)にとどまる。改修の補助はなかった。

 同計画を策定しているのは、那覇などの7市町村に加え、南城、名護、豊見城、石垣、金武、北中城、与那原、宜野座、竹富の計16市町村。策定市町村でも財政難で予算確保ができず、事業を見送ったところもある。本年度は13年度に実施した7市町村に豊見城市と石垣市を加えた9市町村で募集する。

広報と理解不足 行政は危機感を

 防災に詳しい稲垣暁・沖縄国際大学特別研究員の話 県の広報と市町村の理解が足りない。県内には1970年代に海砂を大量に混ぜたコンクリートで造られた住宅が多く地震に弱い。事業は利用されなければ意味がなく、行政は危機感を持って計画策定を急ぐべきだ。広報も神戸市のように、年に何度も新聞に全面広告を出すくらいの本気度が要る。